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不安やストレスで眠れない不眠症

嫌なことを思い出したり考え事をして眠れなくなる症状とは

「就寝前に嫌なことを思い出して眠れない」という場合の不眠症と、うつ病との関係性についてまとめました。物理的・精神的ストレスなど考えられる原因や、早めに対処することがうつ病などの予防に繋がることを解説しています。

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不安やストレス
眠れない不眠症

Stress

嫌なことを思い出したり考え事をしてしまう

就寝前に嫌なことを思い出したり考え事をしてしまい、いつまでたっても眠れないという状態も不眠症の1つです。心配事やストレスが解消されれば自然と眠れるようになる一過性のものがほとんどですが、几帳面な人などでは「眠れないこと」自体がストレスとなってしまい、慢性化してしまうケースも見られます。
不安やストレスによる睡眠障害には、外傷後ストレス障害(PTSD)も含まれます。これは、自然災害や事故などの災禍を体験し、精神的にダメージ(トラウマ)を負った人に多く見られるもの。夜中に目が覚めてしまう、眠れない、熟睡感がない、悪夢を繰り返し見るなどの症状に悩まされるのが特徴です。
しかし、強いショックを体験した後の一時的な不眠は、PTSDの抑制に繋がるという研究もアリ。ショック後に眠れなくなるのはトラウマを定着させないようにする生体防御反応であることが、マサチューセッツ大学の研究で明らかになっています。

 

ストレスを減らして眠るための改善法

Improvement

ストレスによって眠れない場合の解決方法には、気軽に自分で試せるものから、専門医の元で受ける治療まで様々なものがあります。
ただし、効果の高い治療を受ければ必ずしも良い結果が得られるとは限りません。たとえば睡眠薬には副作用や耐性、依存症など、注意すべきリスクもあります。
自分の状態や経済的な負担などを考慮した上で、一番合った方法を慎重に選びましょう。

手軽でリスクのない
睡眠サプリを試してみましょう

病院や睡眠薬に頼る前に、最近注目されている睡眠サプリメントを試してみるのも一つの手です。睡眠サプリは睡眠薬と違い「薬」ではありません。そのため、厄介な耐性や副作用の心配はいらず、気軽に試せるのが魅力です。
不眠症状が続いて病院や睡眠薬での治療を検討している方や、既に睡眠薬による治療を受けているが、飲む量を少しずつ減らしていきたい方も、一度、睡眠サプリを試してみることをおすすめします。

自分に適した方法を見極めましょう

もちろん、症状によってはの専門医の診断を受けなければ改善が見込めない場合もあるでしょう。大切なのは、自分に適した改善方法はどれなのかを見極めること。まずは手軽に試せる方法から順番に試してみる、というのも良いかもしれません。

布団の中で考えすぎない

布団の中に入ってからあれこれ考えてしまうと頭が冴えてしまい、どんどん眠くなくなってしまいます。不安なことがあると無意識のうちに考え事をしてしまいますが、そういった考え事をやめ、脳が興奮しないような1人しりとりなどをしてみると自然に思考切り替えることができるでしょう。

生活習慣を整える

規則正しい生活習慣を送ることにより決まった時間に眠りに付きやすくなります。また、眠れないからといってスマホを見るのはNG。画面からはブルーライトと呼ばれる特殊な光が出ており、睡眠を邪魔してしまうのです。また、カフェインを飲んでから4時間ほどは眠りにくくなるため、コーヒーなどのカフェインが入っている飲み物は、夕方以降は飲まないようにしましょう。質の良い睡眠を取るためにとお酒を飲む方もいますが、アルコールの取りすぎはかえって睡眠状態を悪化させます。満腹・空腹の状態も眠りに付きにくくなるため、夕食の時間についても考えてみましょう。

運動で自律神経の働きを上げる

不安で眠れない時は自律神経の働きを高めることが大切です。体を動かしてさまざまな筋肉を使うと体中の働きが活発になります。ウォーキングや水泳といった有酸素運動で全身を動かすことが効果的なのはもちろん、軽いストレッチや入浴で汗をかくことも自律神経の働きを回復するのに有効。リラックス効果のあるセロトニンという成分が分泌されて気分を落ち着かせてくれるので、不安が和らぎ眠りやすくなります。

アロマでリラックス

ラベンダーやカモミール、ネロリなどの香りには沈静・安定作用があるので睡眠の質をアップさせるためにおすすめです。選ぶ基準としては、自分が心地よく感じられるかどうかがポイントになります。お風呂のお湯に精油を数滴垂らす、もしくは精油をティッシュに1滴垂らして枕元に置いておくだけでもOK。ただし、酢酸リナリルの配合量が35%以上の真正ラベンダー以外のものには興奮作用があるので商品選びには注意しなければなりません。[※3]

[※3]参考文献:内山真(2010年)「名医が教える不眠症に打ち克つ本』p148

睡眠サプリを試してみる

病院で本格的に治療を受けることを検討するよりも先に、何か手軽な対策をとりたいと思っている方にチェックして欲しいのが睡眠サプリです。症状が重い場合は専門的な治療を受けなければ状態が改善しない可能性もありますが、一時的な不眠や軽い症状の場合は入眠を助ける成分が入った睡眠サプリを取り入れてみましょう。薬ではないので即効性の効果は期待できませんが、「サプリメントを飲んでいる」といった安心がストレス緩和に繋がる可能性もあります。何よりも飲むだけで良い手軽さも魅力です。

睡眠薬を使う

睡眠薬は夜に眠るために使うというよりも、寝ても昼間に強い眠気に襲われる症状を改善するためのものです。また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は寝つきを良くする働きがあるものの眠りの質が落ちると言われています。薬の飲み合わせも考えなければならないものもあるため、自己判断で取り入れるのではなく、必ず医師や薬剤師に相談した上で取り入れましょう。

病院で診察する

近年は睡眠外来も増えてきました。ストレスや精神的なことが原因で不眠に繋がっていると感じているのであれば、心療内科に相談するのもおすすめです。専門的な診察を受けることにより実は不眠の原因にうつ病が隠れていることや、自分では気づけなかった不調やその他のトラブルも見つかることがあります。専門的な治療を受けることもできるので、一度病院で診察を受けてみましょう。

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考えられる
ストレスによる不眠の原因

Cause

ストレスには物理的ストレスと精神的ストレスの2種類があります。どちらの場合も一過性であればひどい不眠症に繋がることはありませんが、慢性化すると更なる不調や病気を引き起こす可能性もあります。ストレスを感じている方は自分がどちらに該当するのかチェックしてみましょう。両方に該当するケースも多いです。

物理的ストレス

暑さや寒さ・騒音・疲労・痒みや痛みなど体に感じる不快感によるストレスです。生活環境が乱れている場合も物理的ストレスを溜め込むことがあるので注意しましょう。

精神的ストレス

親しい人との死別・離婚・病気・災害・失業・人間関係の悩みなど、「嫌だなぁ」と感じるものが精神的ストレス。不安や辛さを感じる環境に長期間さらされると身体が拒否反応を起こし、さまざまな症状の引き金となります。

どちらも一過性のものであれば自然と不眠症は改善されますが、慢性化してしまうと予期せぬ病気を引き起こす恐れもあります。ストレスによる異変に気づいたら、早めに適切な対処をするようにしましょう。

また、ストレスによる不眠に関しては、以下のことが実験としてわかっています。

 生活上のストレス,神経症傾向,不眠へのこだわりと いった認知的な要因が睡眠の質にどのように関係している のか,精神的健康までのモデルを構築し,関連性や影響度 について検討した。その結果,PSQI-Jで評価した睡眠の 質には生活上のストレス体験と不眠へのこだわりが直接影 響しており,不眠へのこだわりがPSQI-J総合得点にもっ とも直接的に影響を与えていた。また,睡眠の質は精神的 健康に影響していた。睡眠の質を高めるためには,生活上 のストレスや不眠へのこだわりに対する方策を検討するこ とが必要であり,そうすることで精神的健康も高まる可能 性が示唆された。

※不眠へのこだわりとは、眠れないことへの不安といった感情の喚起を含む、入眠時の認知活動のことを指します。

引用元:加納 友香, 石橋 知幸, 土居 礼佳, 藤井 沙紀, 野口 佳美, 森本 美智子『大学生の生活上のストレス,神経症傾向,不眠へのこだわりが睡眠の質に及ぼす影響およびそれらの精神的な健康への影響度』

不眠恐怖

心配事やストレスが原因で発生する不眠は一時的なものであるケースが多いです。しかし、「不眠恐怖」と呼ばれる状態になると不眠が慢性化することもあります。 これは、眠れなかった記憶が不安を呼び、「また今日も眠れないのではないか…」と考えこんでしまうことにより眠れなくなる症状のこと。特に翌朝早く起きなければならない予定があったりすると気持ちも焦りますが、考えすぎないことも大切です。不眠への恐怖が心を乱し、更なる不眠を招くことをよく理解しておきましょう。[※1]

[※1]参考文献:内山真(2010年)「名医が教える不眠症に打ち克つ本』p64-p77

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ストレスによる不眠の影響

Infruence

ストレスで眠れないとどんな影響が出る?

夜間に睡眠を十分に取れないと自律神経のバランスが崩れ、以下のようなさまざまな影響が出始めます。

とっさの判断ができなくなる

集中力が続かない

免疫力の低下

疲れやすくなる、ヤル気が起きない

便秘・下痢・胃痛

多くの調査の結果から見ると、不眠症の人は一般的な人よりも交通事故を起こす確率が2~3倍も高いことが分かっています。重大な事故を防ぐためにも、「たかが睡眠」とあなどることなく、しっかりとした対策を取っていく必要があるのです。

また、眠れないことがさらなるストレスを招くと精神的な病気であるうつ病や不安障害、統合失調症に繋がる恐れもあるのですが、「睡眠時間が足りないならもっと眠れば良い」といった簡単な話ではありませんよね。 そこで、重大な病気に発展して専門医の治療が必要になる前に、ストレスを減らして眠るにはどうしたら良いのかチェックしておきましょう。

うつ病に繋がる可能性も…。

不眠が悪化すると様々な症状が現れますが、うつ病も睡眠障害と深い関わりを持っています。うつ病の原因はまだはっきりしていないものの、よく眠れないのが大きな特徴となり、十分な睡眠時間が取れていたとしても気持ちがスッキリしません。

実際に厚生労働省の保健福祉動向調査によると、うつ状態に悩んでいる方の中には寝つきの悪さや夜中に目が覚める、予定時刻よりも早く目が覚めるなどの睡眠障害に悩んでいる方が多くいることがわかりました。

それだけでなく、十分な睡眠と休養が取れていない人にはうつ状態が強く見られ、休養が取れているとそれほど強く見られないことが判明しているのです。睡眠は心を休ませる効果もありますが、睡眠で回復できないくらい心の休息機能が弱まっている場合は注意が必要になります。

睡眠の質を高め、心の回復機能を高めていかなければさらに状態が悪化してしまうこともあるので気を付けましょう。[※2]

[※2]参考文献:内山真(2010年)「名医が教える不眠症に打ち克つ本』p50-p51

うつ病になる前に

自分がうつ病かもしれない、と感じたら、一度専門のクリニックや病院に相談してみることがおすすめです。うつ病は、精神科や精神神経科、心療内科、メンタルヘルス科などを設けている医療機関で対応しています。「最初から精神科やメンタルクリニックに行くことには抵抗がある」、「気分の落ち込みなど精神的なもの以外にも、身体的な症状があり、うつが原因なのかどうかわからない」と言った場合は、内科を受診してみてください。

うつには、食欲がなくなったり、頭や体が重くなったりと言った症状が現れます。内科を受診してその他の病気が見つからないかどうかなどを検査し、うつ病の可能性が高いときは、うつ病に対応してくれる他の病院などを紹介してくれるということもあります。

また、「自分がうつ病になるわけがない」、「これくらいの症状がうつ病のはずがない」など、うつ病になっているかもしれないという可能性自体を信じられない、という方も多いのではないでしょうか。そして、うつ病と「ただ単なる気分の落ち込みやゆううつさ」との区別がつかないということもあるかと思います。

ゆううつな気分になったり、気持ちが落ち込んで何事にも意欲がわかなくなったりするというのは、誰しも経験のあることです。ただし、それが日常生活に支障が出るレベルであったり、2週間以上その状態が持続したりする場合は、うつの可能性があります。

うつ病はインターネット上でセルフチェックなどができる病気です。自分で少しでも「おかしいな」と感じたら、一度チェックしてみましょう。