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Quality of sleep

日中のパフォーマンスと睡眠の質の関係

日中やる気が出ない人は睡眠の質が低下している?

よく眠ったのに疲労感が残ってしまい、何をするにも気力が出ない……そんな方は、睡眠の質が低下している可能性があります。ここでは、睡眠の質に関する基本的な情報、および睡眠の質を高めるための具体的な方法について詳しくまとめました。

睡眠の質とは?日本人の約40%は睡眠の質が低い

「睡眠の質」という言葉に明確な定義はありませんが、一般には、眠りが深いことを「睡眠の質が高い」と言い、眠りが浅いことを「睡眠の質が低い」と言います。

この見方においては、かならずしも睡眠時間の長さは関係していません。たとえ睡眠時間が短くても、翌日に疲れが取れていれば、睡眠の質は高いと考えられます。逆に、たとえ睡眠時間が長くても、翌日に疲れが取れていなければ、睡眠の質は低いと考えられます。

なお、厚生労働省は「平成25年国民健康・栄養調査」において、日本人の睡眠状況に関するアンケート調査を行なっています。参考までに、同アンケートの結果を確認しておきましょう。

以下のアンケート調査の対象者は、20歳以上の日本人男女7,123名。「過去1ヶ月において、週3回以上、次のようなことがありましたか?」という質問への回答です。

厚生労働省の睡眠の質に関するアンケート調査

「寝つき(布団に入ってから眠るまでに要する時間)に、いつもより時間がかかった」

  • 男性…13.2%
  • 女性…19.3%

「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」

  • 男性…23.4%
  • 女性…24.0%

「起きようとする時刻よりも早く目が覚め、それ以上に眠れなかった」

  • 男性…17.8%
  • 女性…17.2%

「睡眠時間が足りなかった」

  • 男性…23.2%
  • 女性…27.8%

「睡眠全体の質に満足できなかった」

  • 男性…22.4%
  • 女性…23.0%

「日中、眠気を感じた」

  • 男性…37.7%
  • 女性…43.0%

「上記のような状態にはならなかった」

  • 男性…32.8%
  • 女性…28.8%

上記アンケートの結果において「日中、眠気を感じた」と回答した人は、実に全体の40%前後。日中に眠気を感じる理由は、睡眠の質が低下しているからに他なりません。多くの日本人において、大なり小なり、睡眠の質が低い状態であると考えて良いでしょう。

「質の高い睡眠」と「質の低い睡眠」の正体とは?

質の高い睡眠とは、ノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが整然としている睡眠のこと。逆に、質の低い睡眠とは、このリズムが乱れている睡眠のことを指します。

ノンレム睡眠とレム睡眠のリズム

ノンレム睡眠とは、簡単に言えば「深い眠り」のこと。対してレム睡眠とは「浅い眠り」のことを指します。

眠りに就いて最初にやってくるのが、ノンレム睡眠。このノンレム睡眠は、約90分ほど続きます。その後、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に4~5回ほど訪れ、やがて目覚めへと至ります。

質の高い睡眠と質の低い睡眠

質の高い睡眠とは、ノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが整然としている睡眠のこと。リズムの美しさは、最初の90分のノンレム睡眠の深さが握っています。

最初の90分のノンレム睡眠が深い場合、その後のノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが整い、自律神経やホルモンの状態も良好となって爽快な目覚めを得られます。一方で、最初の90分のノンレム睡眠が浅い場合、朝まで正しいリズムを取り戻せず、結果、目覚めが悪かったり日中に眠くなったりしてしまいます。

質の高い睡眠を得るには、眠りについてからの最初の90分がポイント。この90分を深いノンレム睡眠へと導くため、以下で紹介する生活習慣を実践してみるようにしましょう。

睡眠の質を高める方法

厚生労働省の見解、および睡眠博士として知られる西野精治先生(スタンフォード大学医学部教授)の意見を参考に、睡眠の質を高める方法についてまとめました。

規則正しい生活を送る

私たちの眠りの背景には、自律神経やホルモン分泌、体内時計など、意志とは無関係の様々な機能が働いています。これら機能は、日々の規則正しい生活リズムがあってこそ、規則正しく機能するものなのです。

毎日の就寝時間や起床時間がバラバラである場合、これら睡眠の背景にある機能は正確に作動しなくなってしまいます。結果、入眠困難を引き起こしたり、睡眠の質を低下させたりなど、様々な睡眠障害を誘発します。

睡眠の質を高めるためには様々な方法がありますが、すべての方法の大前提となるものが、規則正しい生活であることを覚えておきましょう。

有酸素運動を習慣化する

疫学的調査(統計的調査)によると、運動習慣のない人に比べると、運動習慣のある人には不眠が少ないという結果が出ているそうです。

それにはいくつかの理由がありますが、主なものとしては、脳の温度が上昇するということが挙げられます。運動により脳の温度が上昇すると、その後は徐々に低下していきます。眠りは脳の温度が低下する過程で誘発されるため、結果として運動が睡眠導入をスムーズにするのでは、と考えられています。

なお、運動の種類は有酸素運動(通常の呼吸リズムを維持しながら可能な運動)が理想。早歩きや、軽いジョギングなどです。

入浴して一時的に体温を上げる

前述の通り、人は脳の温度を低下させる過程で眠気が誘発されます。この状況を人為的に作るためには、入浴が推奨されます。

寝る2~3時間ほど前に、しっかりと湯船に浸かって体温を上げておきましょう。その後、上昇した脳の温度が下がっていく過程で自然に眠気が生じてきます。

快適な室温を保つ

日本では、年配者を中心に、エアコンを使わないことへの美学が存在します。「エアコンを使うようになってから日本人の身体が弱くなった」という論法です。

この論法は、根性論やノスタルジーに基づいた乱暴なフィクションであることを理解してください。若年層であれ高齢者であれ、エアコンを適切に使用することは、健康に寄与することはあっても、健康を害する要素にはなりません(過度な使用は論外ですが)。

就寝時における「暑すぎる」「寒すぎる」は、明らかに睡眠の質を低下させます。四季を通じエアコンを上手に利用して、室内を適温に維持するよう心がけましょう。

起床直後は自然の光を浴びる

1日は24時間ですが、人の体内時計は24時間より少々多めに設定されています。よって、何らかの調整機能が働かない限り、人は徐々に夜型へと移行していきます。

このズレを調整するのが、朝の光。起床した後の朝日を浴びれば、体内時計は24時間の波にリセットされます。起きたら、まずはカーテンを開けて部屋中に天然光を採り入れましょう。

寝る前にカフェインやアルコールを摂らない

カフェインには覚醒作用があるため、寝る前に飲むことは避けてください。コーヒーやお茶などだけではなく、ココアやチョコレート、また一部の清涼飲料水にもカフェインが含まれているので注意しましょう。

また、寝酒と称して就寝前にアルコールを摂取する人がいます。ビール350ml程度の寝酒であれば問題ありませんが、過度なアルコール摂取は、逆に睡眠の質を低下させます。寝る前の深酒はやめましょう。

適切な寝具を用意する

寝具が体に合っていない場合、睡眠中の寝返りを何度も誘発するなどして睡眠全体の質を低下させます。寝具の専門店などに行き、寝具に詳しい店員さんに相談のうえ、自分の体に合った枕と敷布団を選ぶようにしてください。

就寝前のスマホ・パソコンの閲覧を避ける

スマホやパソコンの画面から照射されるブルーライトという光は、良質な睡眠を妨げる要因になると言われています。

明るい部屋で、かつ画面から顔を離して閲覧する分には、特に大きな問題はありません。ただし、暗い部屋で画面に顔を近づけて閲覧した場合、その後の睡眠は浅くなると言われています。

そうでなくとも、スマホやパソコンを閲覧することで脳が興奮・覚醒するため、やはり睡眠前の閲覧は避けるべきでしょう。

就寝前は自分を退屈な状況へ導く

単調な道で、長時間にわたり車を運転していると、だんだん眠くなってしまいますよね。同様に、内容のつまらない講演を長々と聞いていると、次第に眠くなってしまうものです。

人の脳は、退屈な状態が長く続くと思考がストップし、眠くなる仕組みになっています。このシステムを利用し、寝る前には、なるべく退屈な状況を作り出してみてください。

昔の人は「寝る前に難しい本を読むとよく眠れる」と言ったものですが、これはすなわち、意味不明な難解な本を読むと脳が退屈を感じて眠ってしまう、という経験則と考えられます。

睡眠の質を高める成分を摂取する

これまで、国内外の研究機関では、睡眠の質を高める成分についての数々の研究がなされてきました。これら研究は、医療分野においては睡眠薬という形で実現し、民間市場においては睡眠サプリという形で実現しています。

病的なほどの重度の睡眠障害については、速やかに医療機関を受診して睡眠薬を処方してもらうべきでしょう。

一方で「あまり寝つきが良くない」「寝ても中途覚醒することが何度かある」「よく寝たつもりなのに、翌日の日中に眠くなってしまう」「朝起きるのが少しつらい」等の段階であれば、副作用の心配がない睡眠サプリから始めたほうが良いかも知れません。

睡眠の質を高める成分・テアニンとは?

睡眠の質を高める成分として、昨今、テアニンが注目されています。様々な睡眠サプリの主成分として配合されているので、睡眠サプリを検討中の方にはおなじみの成分かもしれませんね。

機能性食品の研究開発で知られる太陽化学株式会社(三重県四日市市)は、テアニンが持つ睡眠サポート作用について、人を対象とした臨床試験を行なっています。

太陽化学株式会社におけるテアニンの臨床試験

被験者22名を対象に、睡眠前にテアニンを摂取してもらう試験を実施。すべての被験者に対し、「テアニンには睡眠サポート作用があること」「毎日、テアニンを摂取してもらうこと」を伝えて試験を開始しました。

しかしながら実際には、テアニンと偽ってプラセボ(何の作用もない成分)も混在させた形で試験を実施。本物のテアニンの作用を明確に判別するため、計画的にプラセボを混在させました。

試験の結果、プラセボを摂取した場合と、本物のテアニンを摂取した場合との間に、明らかな違いがあることが判明。本物のテアニンを摂取した場合において「疲れが取れた」「中途覚醒の回数が減った」「入眠がスムーズになった」「睡眠時間が長くなった」等々、科学的に有意とされる明確な作用が確認されました。

睡眠サプリを選ぶ際の注意点

睡眠薬に頼らざるを得ないような重度の睡眠障害であれば、早急に医療機関を受診するのが賢明です。しかし、睡眠薬の副作用や依存性のリスクを考えると、病気というほど重症ではない場合であれば、まずは睡眠サプリを試してみるのも一つの手です。

ただし、睡眠サプリには実に多くの種類があります。それらの中から自分に合った商品を探り当てるのは至難の業。闇雲に買い漁っていてはお金が掛かり過ぎてしまうでしょう。

そこで、睡眠サプリに配合されている成分をしっかりとチェックし、自分に必要そうな成分が入っているものを選ぶようにしましょう。くれぐれも、根拠のない宣伝文句を鵜呑みにしたり、有名メーカーの商品だから、などと安易な選び方をしたりしないようにしてくださいね。

【まとめ】睡眠の質を高めたい方へ

厚生労働省の統計によると、「毎日、あまりよく眠れていない」という自覚のある方は、20代以上の男女で約40%。非常に多い数字と言えますね。つまり、私たちの周りにも、こういった悩みを抱える人が多くいるということです。

睡眠の質に問題を感じている人は、まず、上記に挙げたように生活習慣の見直しを図ってみてください。それと並行して、睡眠に良いとされるサプリを摂取してみるのも良いでしょう。こうした努力を続けるだけで、多くの場合、睡眠の質は向上していくはずです。

逆に、努力の甲斐もなく睡眠の質に改善が見られない場合には、病気を原因とする睡眠障害が生じている可能性があります。症状が悪化しないよう、早急に医療機関を受診すべきでしょう。