セントジョーンズワートの摂取で快眠効果とは?
セントジョーンズワートは気持ちをリラックスさせ、快眠へと誘う効果があると言われています。そこでこちらでは、セントジョーンズワートの効果や副作用、摂取量などについてご紹介していきます。
セントジョーンズワートはヨーロッパが原産の植物で、日本では「セイヨウオトギリソウ」という名前で親しまれている多年草です。黒い斑点のある黄色い花を咲かせますが、こすると赤い色素がしみだしてきます。この赤い色素は、キリストの洗礼者であるヨハネの血の象徴とされており、セントジョーンズワートという名前は、聖ヨハネ(St.John the Bapist)から名付けられました。セントジョーンズワートは初夏に花を咲かせますが、その時期は、ちょうどヨハネの誕生日と合致する時期となっています。
セントジョーンズワートは、リラックス効果、不安感を解消する効果、入眠のサポートをしてくれる他、食欲不振などに効果があると言われています。その効果は、アメリカでは「サンシャインサプリメント」と呼ばれるほど。ドイツの病院では、イライラやストレス、倦怠感などにセントジョーンズワートが処方されると言われており、主に欧米で高い人気を誇っているハーブです[1]。
気分に作用するだけではなく、傷や打撲などの際に、外用薬としても用いられているセントジョーンズワート。オリーブオイルに浸すと、花に含まれる赤い色素がオイルにしみだしてきます。それを患部に塗ることで、痛みの緩和が期待できると言われています[3]。また、筋肉や神経の痛みにも効果的とされ、オイルマッサージによって緩和する効果が期待できるそうです。
中国では「貫葉連翹(カンヨウレンギョウ)」と呼ばれており、中薬として利用されています。その効果は、吐血、喀血、外傷による出血、リウマチ、口や鼻の皮膚炎、解毒、やけどなどと言われており、様々な効果が期待される万能薬だということがわかります[2]。
セントジョーンズワートには、気持ちを前向きにしてくれる作用があるとされています。セントジョーンズワートにはヒペリシン、ヒペルフォリン、フラボノイド、タンニン、フラボノイドルチン、ケルセチン、ケンフェロールといった有効成分が含まれています、[5]。
ヒペリシンは、軽度~中等度のうつ病の治療にも用いられていますが、単独の成分による効果ではなく、これらの成分が複合的に作用していると考えられています。沈んだ気持ちを前向きに変えてくれ、不安感による睡眠障害に効果が期待できるでしょう。セントジョーンズワートは体内のセロトニン量を増加させる働きによって、睡眠前の気持ちを落ち着かせると共に、スムーズな入眠をサポートしてくれるでしょう[3]。
セントジョーンズワートには、体内の「セロトニン」の減少を防ぐ働きがあります。セロトニンは自律神経に働きかけ、ストレスや睡眠を調整している神経伝達物質。うつの症状が見られる方は、セロトニンなどの神経伝達物質の量が少ないとされています。
セントジョーンズワートが傷の治療に用いられているのは、ヒペルフォリンの殺菌作用のためです。そのため、傷口に塗るだけではなく、古くから毒を持った昆虫に刺された際にも利用されてきました。マラリアなどの感染症の治療に使われた歴史もあり、多くの可能性を秘めた成分だと言えます。
セントジョーンズワートの副作用が発生する確率は、1~10%程度とかなり低いものです。次のような症状が現れることがある他、稀にアレルギー症状が発生する場合もあります[2][7]。
その他、セントジョーンズワートのヒペルフォリンは、医薬品と反応する場合があり、抗うつ薬やピル、強心薬、HIV感染治療薬、抗がん剤、抗てんかん薬、免疫抑制薬、ワルファリンなどの血液凝固剤などと併用すると、薬の効果が高まる、もしくは低くなる可能性があります。医薬品を服用している場合は、摂取を控えた方が良いでしょう[4][5]。
うつ病の際のセントジョーンズワートの摂取目安は、1日に900mgだとされており、1日3回に分けて、300mgずつ摂取するのが基本です。一般的な摂取量としては、350mg~1,800mgだとされており、サプリメントでもこの分量のセントジョーンズワートが摂取できるようになっている様です[6]。
セントジョーンズワートは睡眠への効果が期待されていますが、医薬品との作用や副作用の心配があり、摂取できる方は限られてくると思います。睡眠障害に効果的だとされる成分は他にもあり、例えば、緑茶にも含まれているテアニンであれば、更に安全に摂取することができるでしょう。
[1]参考:東京健安研セ年報『セントジョンズワートを含有する健康食品中のヒペリシン及びヒペルフォリン含量』[pdf]
[2]参考:株式会社常磐植物化学研究所『セントジョンズワート(St. John's wort)』
[3]参考:医療教育研究所『セント・ジョーンズ・ワートの謎』
[4]参考:サッポロビール株式会社『乳酸菌によるセロトニンを介した自律神経への作用を世界で初めて発見』
[5]参考:「統合医療」情報発信サイト『セイヨウオトギリソウ』