Eary rising

朝早く目が覚めてしまう

朝早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」について

「早朝に目が覚めて眠れない」状態、いわゆる早朝覚醒の対策と改善方法をまとめています。加齢のほかに考えられる早朝覚醒の原因や、改善せず放置しておくことで起こり得る影響についても解説。ぜひチェックして。

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朝早く目が覚めてしまい
「眠れない」症状

Early rising

目覚める時間が早すぎて日中の眠気がつらい

「早朝覚醒」とは、起きようと思っていた時間よりも早く目が覚めてしまい、そのまま眠れなくなる睡眠障害のことです。早く目が覚めてしまうため、日中に眠気や倦怠感を感じることも多く、夜間に起きていることができなくなります[1]

  • 起きたい時間よりも早い時間に目覚めてしまう
  • 起きた後に再び眠ることができない
  • 早く起きてしまうことで体がつらい
  • 日中の生活に支障が出ている
  • 早く目覚めてしまう状態が1ヵ月以上続いている

これらの条件全てに当てはまっている場合、早朝覚醒の可能性があると判断されます[2]。また、早朝覚醒には、次の2つの種類があります。

加齢による早朝覚醒

早朝覚醒は年齢を重ねた方に多く見られる睡眠障害で、加齢によって眠りが浅くなると共に、早朝覚醒が起こりやすくなります[3]。その確率は、70歳以上の方では、若い人の2倍に近くになると言われています[4]

うつ病による早朝覚醒

早朝覚醒はうつ病の方によく見られる症状で、うつの症状を「不眠によるもの」と考えてしまいがち。熟眠障害や入眠障害、中途覚醒などの他の不眠症を併発することもあり、放っておくと生活のパターンが崩れてしまう可能性もあります。眠れないため体の疲労も回復しにくく、日常生活に支障をきたすようになっていきます[5]

早朝覚醒以外の不眠症について

早朝覚醒以外にも、不眠症にはいくつかの種類があります。入眠困難、中途覚醒、熟眠障害の3種類があり、それぞれ症状が異なる不眠症です。

入眠困難

入眠困難とは、眠ろうと思ってもなかなか眠ることができない状態の不眠症。不眠症の中でも最もよく見られるタイプで、ベッドに入っても、眠りに就くまで30分以上かかります。不安やイライラなどの精神的なものが原因のこともありますが、生活習慣や体への刺激によって、入眠が邪魔されている場合もあります[6]

中途覚醒

中途覚醒とは、深夜に何度も目が覚めてしまうタイプ。目が覚めてしまうと再び眠りに就くことが難しく、もし眠れたとしても、また目覚めてしまう可能性が高い不眠症です。早朝覚醒との違いは、早朝に限らずいつでも目が覚めてしまうところです[6]

熟眠障害

熟眠障害とは、長時間眠っていたにも関わらず、眠った気がしないタイプの不眠症です。眠りが全般的に浅くなっているため、眠りの質自体が落ちていると考えられます。不安感や年齢によって引き起こされることもありますが、「8時間以上眠りたい」などのこだわりによって、必要以上に睡眠時間を取ることが原因になる場合も[3][6]

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考えられる早朝覚醒の原因

Cause

朝覚醒の原因としてまず考えられるのは、自律神経のバランスが乱れることです。自律神経の中でも「交感神経」が活発に働き過ぎると、眠っている間も脳が休めず眠りが浅くなり、早朝覚醒に繋がる可能性があります。自律神経のバランスが乱れる原因としては、次のようなものが挙げられます[7]

不規則な生活

大きなストレス

更年期によるホルモンの乱れ

先天的な要因

若い人に見られる早朝覚醒は、ストレスや不安などの精神的なものが原因であることがほとんどだと言われています。

その他の早朝覚醒の原因について

早朝覚醒の原因は、自律神経の乱れだけではありません。次のような生活習慣や環境によって、早朝覚醒が引き起こされることも考えられます。

眠ろうとする時間が長すぎる

人によって最適な睡眠時間は異なり、長く眠ろうとし過ぎることが早朝覚醒の原因になることもあります。6時間の睡眠で足りている人が、9時間の睡眠を取ろうとすると、早朝に起きてしまうことになるでしょう。

環境によって眠りが妨げられている

早朝の環境が眠りを邪魔している可能性もあります。眠っているときの環境は気づきにくいですが、早朝に騒音が聞こえたり、部屋の温度が不適切だったりすると、早朝覚醒に繋がります。

アルコールの摂取のため

アルコールは眠りに就きやすくする作用がありますが、眠りの質を低下させます。また、アルコールが体内から抜ける3~4時間後に離脱症状が現れ、その頃に目が覚めやすいと言われています。

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早朝覚醒が及ぼす影響

Infruence

早朝覚醒でどんな影響が出る?

早朝覚醒をそのまま放置しておくと、日常生活にも悪影響が出始めます。以下のような症状が見られる場合は、とくに注意が必要です。

日中集中力が続かず、常に頭がボーっとする

日中に強い睡魔に襲われ、仕事・勉強が手につかない

夜の睡眠のことを考えると憂鬱になる

二度寝ができたとしても起床がつらい

日中に強い眠気が起こることも多いですが、ここで昼寝や仮眠をしてしまうと生体リズムがより乱れてしまい、また早朝覚醒が起こるという悪循環に陥ります。

早朝覚醒の対処には、生活リズムの改善が第一。また、睡眠の質を高めるための工夫(寝室の環境整備・光や音の調整など)やサプリメントの利用なども効果的です。

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すぐに始められる早朝覚醒の改善策

Counterplan

規則正しい生活を送る

睡眠は体内時計によって調整されているので、眠る時間や起きる時間がバラバラだと、体内時計がずれてきて不眠症になりやすくなります。就寝時間や起床時間はできるだけ変化させないようにすることが大切です。

また、体内時計は太陽の光によっても調整されています。太陽の光を浴びてから14時間後に眠くなるようになっているため、眠りたい時間の14時間前に日光を浴びるようにしてみると良いでしょう[3]

寝室の環境を整える

早朝覚醒の原因でご紹介したように、眠っている場所の環境が良くないと、早朝覚醒や眠りの質の低下に繋がります。耳栓で騒音をシャットアウトする、アイマスクやカーテンで光を遮るなどの工夫をしてみてください。 快適な睡眠のための室温は20℃前後、湿度は40~70%程度と言われているので、エアコンや加湿器、除湿器も上手く活用することをおすすめします[3]

運動を取り入れる

質の高い睡眠を取るためには、運動はとても効果的です。運動をすると体は疲れて、ぐっすりと眠れるようになります。また、運動は体温を上昇させますが、一度体温が上がると、熱の放射によって体の内部の体温は徐々に下がっていきます。体内の体温が下がると眠りに就きやすい状態になるため、眠りたい時間の2時間前に運動をするようにしてください。ウォーキングやストレッチなど、軽めの有酸素運動が良いでしょう[8]

睡眠の質を高めるサプリメントの利用

早ここまでご紹介してきた対策法と同時に、睡眠の質を高めるサプリメントを活用するのがおすすめです。睡眠に効果的なサプリメントは様々ですが、テアニンが配合されているものは、脳の興奮を抑えてリラックスさせる効果が期待できるため、不安感やストレスが強い人に最適です[9]。

睡眠にいいサプリもいろいろありますが、特にテアニン配合のサプリは、脳の興奮を抑えてリラックスさせる効果があるので、ストレスや不安感が強い人におすすめです。また、ほかのサプリに比べて、テアニン配合のサプリは価格が手ごろで継続しやすく、長期的な不眠症状の改善に取り入れやすいでしょう。

クリニックへ相談

早朝覚醒の原因の種類によっては、速やかにクリニックに相談したほうが良いこともあります。
たとえば、当ページの前半で触れた「大きなストレス」や「更年期によるホルモンの乱れ」などが原因で生じた早朝覚醒の場合、いかに生活習慣を変えようとも、症状の改善には限界があるでしょう。ストレスが原因であれば心療内科や精神科の受診、更年期が原因であれば婦人科の受診が望まれます。
特に、ストレスが原因の早朝覚醒の背景には、うつ病が隠れていることがあるので要注意。「仕事や家事で疲れていて入眠には問題がないものの、朝まで熟睡できることはなく、入眠から数時間で目が覚めてしまう」という症状は、うつ病の患者に見られる典型的な症状の一つです。心当たりのある方は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
原因の分からない睡眠障害や早朝覚醒を抱えている人は、その原因を早急に特定して、具体的な対策を検討することが大切です。仮に、うつ病が原因の場合、病気が進行すると自殺願望が生じてきたり、実際にそれを企図したりすることもあるからです。
原因が心と体のどちらにあるかを問わず、早朝覚醒には思わぬ病気が潜んでいることを理解してください。原因不明の睡眠障害・早朝覚醒を自覚している人は、医療機関を受診するようにしましょう[10]

参考文献

[1]参考:厚生労働省健康局総務課『睡眠障害について』

[2]参考公益社団法人 日本薬理学会『睡眠障害の治療』[pdf]

[3]参考厚生労働省e-ヘルスネット『不眠症』

[4]参考:耳鼻咽喉科臨学会『睡眠障害の理解』[pdf]

[5]参考:社団法人 日本老年医学会『高齢者の睡眠障害』[pdf]

[6]参考:岐阜県薬剤師会『不眠症』[pdf]

[7]参考:厚生労働省e-ヘルスネット『自律神経失調症』

[8]参考:臨床神経生理学『就寝前に行う身体運動の運動様式の違いが睡眠に及ぼす影響』[pdf]

[9]参考:日本生理人類学会『アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討』[pdf]

[10]参考:小鳥居諫早病院「第14回『早い目覚めとひどい疲労感』」