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睡眠時間にまつわる噂を
検証

Test

都市伝説?それとも科学的な根拠あり?

「人は4時間半睡眠で十分」「理想の睡眠時間は7時間」「羊を数えると眠れない」「睡眠時間が少ないと太る」「レタスを食べると眠れる」など、世の中にあふれている睡眠に関する噂には根拠があるのか?ひとつひとつ検証していきます。

寝だめはできる?効果ある?

寝だめはできる?
効果ある?

Catch up on sleep

「できない」ことが科学的にも証明されている

寝だめができるのか?つまり、土日にたっぷり寝て貯金をつくったら、その後の平日はあまり寝なくても平気か? ――これは、実験せずとも経験から答えは明白ですよね。答えは「NO」。このことは、科学的にも説明されています。

アメリカ科学振興協会が発行する学術雑誌『Science』(2016年8月12日)によると、次のような事実がわかりました。 私達の体には2つの「時計」があって、 ひとつは光や闇に反応して睡眠や覚醒のサイクルを決める「サーカディアン・リズム」。よく言う「体内時計」です。もうひとつは「恒常的睡眠欲」で、言い換えるなら「体内の砂時計」。起きている時間が長いほど、それに比例して眠りたいという欲求です。 徹夜などをして長い時間起きていた後に眠った場合、多くは一定の時間が経つと目が覚めてしまいます。「睡眠時間の長さを決めるのは、起きていた時間の長さではなく、体内時計である」ことを表すのだそう。 この2つの体内時計が相互作用することで、科学的にも「寝だめ」はできないそうです。

念のため、実験してみました

Aさん(38歳女性) :いつもの平日の平均睡眠時間は6時間。
実験のため、月曜~木曜まで夜更かしをして睡眠時間を4時間に抑えて迎えた金曜の夜、木曜までと同じ時刻、目覚ましをかけずに午前2時にベッドに入りました。 寝不足が続いていたので、おそらく昼近くまで目が覚めないだろう…と思っていたのですが、翌朝土曜日、いつもの起床時間にはさすがに起きられませんでしたが、目が覚めたのはたった1時間遅れの7時。別の週も同じようなことを試してみましたが、同じ結果でした。

Bさん(35歳女性) :いつもの休日の平均睡眠時間は8時間。
土日は目覚ましをかけず、とにかく思いっきり眠って寝だめしよう!と、張り切って寝るのですが、結局、目が覚めるのはほぼいつもの時間。とはいえ、寝だめを決行するために、二度寝、三度寝。夕方近くになってやっと食事でもとろうとベッドから出ようとすると、たいてい頭が重くだるいんです。横になっても頭痛は治らないし。頭痛薬を飲んでも効かない。こんなに寝ているのになんで具合が悪くなるの?結局、寝だめではなく、寝だめで体調を崩して、土日ずっと寝ているなんてことも。ずっとベッドの中にいたにもかかわらず、なぜか月曜から眠いという有様です。

実は、寝すぎると頭痛がする、体調が悪くなる…というのもよくある話。寝過ぎている間に二酸化炭素が血液中に蓄積したり、自律神経が乱れて血管の収縮・拡張のリズムも乱れたり、水分が不足したり…と、さまざまな要因があるようです。やはり、寝だめはできないし、寝すぎも何の得もないといったところでしょうか。

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睡眠時間は
4時間半とればいいって本当?

Four and a half hours

なぜ「4時間半」なのか

人は「最低4時間半の睡眠をとればよい」という話をよく耳にします。なぜ「4時間半」なのでしょうか?これは睡眠のサイクルが関係しています。睡眠は、身体の眠りである「レム睡眠」と脳の眠りである「ノンレム睡眠」の2種類から構成されていますが、通常、2つを1セットとして、レム睡眠→ノンレム睡眠→レム睡眠→ノンレム睡眠…というように、90分サイクルで交互に繰り返されています。身体の眠りである「レム睡眠」のタイミングで起きるのが、スッキリ起きるために最適と言われています。レム睡眠+ノンレム睡眠(90分)×3セットの後、レム睡眠中に起きる時間として4時間半~4時間50分くらいが最低限の数字とされてるのです。

4時間半、いかに深く眠れるかが問題

ここで、誤解しないようにしたいのが、最低限必要な眠りと理想的な睡眠時間は異なるということ。もちろん、個人によっても最適な睡眠時間は違ってきます。しかも、眠りは量よりも質と言われていますので、いかに熟睡できるかが問題になります。この4時間半に深く眠ることができるのであれば、理論上は睡眠時間は4時間半でも十分ということになるでしょう。

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理想の睡眠時間は
7時間って本当?

Seven and a half hours

「7時間」はどこから来た数字?

1980年代、カリフォルニア大学のダニエル・クリプペ博士が100万人以上を対象に 「睡眠時間」と「寿命」の関係について調査を実施しました。その調査結果によると、最も死亡率が低かったのは、日に6時間半~7時間半睡眠をとっている人たちでした。7時間という数字は、ここから来ています。

一方、名古屋大学の青木元教授を中心とする研究会「JACC Study」が約11万人を対象に1990年代に実施した「睡眠時間による死亡リスク」の調査によると、6~7時間の睡眠時間では死亡リスクが低いが、4時間睡眠の場合、一気に死亡リスクが1.6倍になると発表されています。ここでも7時間という数値が注目されています。

睡眠時間は多すぎても少なすぎてもNG

しかし、この7時間というのはあくまで調査ではじき出された数字であり、目安にしかすぎません。7時間では到底足りない人もいるでしょうし、7時間も寝ていると体調がすぐれないという人もいるでしょう。実際、当サイト編集部でも、5時間以上眠ると頭痛がするという人、9時間は寝ないと体調が悪い人、さまざまです。

睡眠時間は、多すぎても少なすぎても「うつ病」などのリスクがあることが報告されています。つまり、日中の活動に支障がなく、心身ともに良好な状態が保たれるのであれば、理想的な睡眠時間がとれていると考えてよいでしょう。

明るい部屋で眠ると
熟睡できないって本当?

Sound sleep
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厚労省の見解は「自分が不安を感じない程度の暗さ」

寝付きをよくして熟睡するためには、眠りの環境は重要です。小さい豆電球をつけたまま眠った場合と真っ暗にして眠った場合、眠りの質に差はあるのでしょうか。部屋を明るくして寝るのは、メラトニンという眠りを促すホルモンを抑制してしまうので、睡眠には悪影響であることは容易に想像がつくでしょう。では、小さな豆電球と真っ暗な状態では、大きな差があるのでしょうか?

厚生労働省健康局が2014年に発表した「健康づくりのための睡眠指針」では、「明るい光には目を覚ます作用があるため、就寝前の寝室の照明が明るすぎたり、特にこれが白っぽい色味であったりすると、睡眠の質が低下します。就寝時には、必ずしも真っ暗にする必要はありませんが、自分が不安を感じない程度の暗さにすることが大切です。」――としています。

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薄暗くてもメラトニンに影響を及ぼしている

小さな豆電球の照度は種類や条件にもよりますが、5~9ルクスと言われています。自然の月明りの照度は約0.1~1ルクスですから、月明りという自然の光よりは、はるかに明るいことになります。それを裏付けるように、奈良県立医科大学の研究チームが「夜間の豆電球使用が肥満・脂質異常症のリスクになる可能性を示唆」という論文を発表しています。これは、常夜灯のような薄暗い明るさでもメラトニンの分泌に影響を及ぼしている可能性があるということ。これも非常に気になるところです。

上記からすると、真っ暗にして眠るのが熟睡のためにはベストな環境と言えます。しかし、真っ暗では怖い、不安、落ち着かない…とストレスを感じるのであれば、それは眠りにとって逆効果です。アイマスクをしたり、常夜灯を真上からではなく、足元に付けるなどの工夫も効果的かもしれません。

眠れないとき
羊を数えるのは逆効果?

Adverse effect
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2つの大学の実験では「効果的でない」という結論

眠れないときの対策で「羊を数える」というのは良く聞く方法ですが、本当に効果があるのでしょうか?これには、国内外の大学で実験が行われており、「効果はあまり期待できない」が結論です。

オックスフォード大学が2002年に実施した実験は、羊を数えるグループと何もしないグループ、静かな海辺などの自然をイメージする3つのグループで行われ、自然をイメージするグループが羊を数えるグループより20分も早く眠りについたのだそう。

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1匹、2匹…と数を数えるより有効な方法って?

一方、広島国際大学が2012年に実施した実験では、同じ学生たちが、羊を数える方法と、腹式呼吸で眠る方法の2つの方法を試して行われました。その結果、入眠までに要した時間は、羊を数えたときが14分4秒、腹式呼吸のときが9分32秒。継続した眠りに落ちたのは、腹式呼吸の方法が羊を数える方法の約2倍になったのだそう。

羊を1匹、2匹…と数えるよりは、大自然の中でのんびり草を食む羊たちをイメージしたほうが眠りにつきやすいかもしれませんね。

寝る直前までスマホを見ると
本当に眠れなくなる?

Difficult to fall asleep
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スマホの光が「昼だ」と勘違いさせてしまう

眠りと深い関係にあるのが、メラトニンというホルモン。体温や脈拍、血圧などを下げて身体を休息状態、睡眠に誘う物質です。このメラトニンがたくさん分泌されると眠くなり、分泌が少なくなると眠りが浅くなり目が覚めます。メラトニンは光と強い関係にあって、強い光を浴びると分泌されにくく、暗い場所だと分泌が増えます。つまり、人が夜に眠くなって、朝目が覚めるのはこういう理由なのです。

スマホやPCなどのブルーライトは、「昼だ」と勘違いさせてメラトニンの分泌を抑制します。スマホが影響を与えるのはメラトニンだけではありません。文字を読んだりすることで脳が覚醒してしまうのです。寝る直前にスマホを見ると、眠りに入りにくくなってしまうのは、こういうメカニズムからです。

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寝る前は落ち着いた照明でゆったり過ごす

たしかに夜遅くまでパソコンで仕事をしていて、いざ寝ようとすると、いつもの就寝時間を2時間以上も過ぎているのに、まったく目が冴えて眠れないことがあります。これは仕事をしていたせいで脳がまだ興奮している状態だからとばかり思い込んでいたのですが、それだけでなく、強烈なブルーライトによって、脳が「昼だ」と勘違いしていたんですね。

これらのことから、寝る前に落ち着いた照明の部屋でゆったりと過ごすことが、いかに安眠にとって大事かということがわかりますね。

睡眠時間が少ないと
太りやすい?

Get fat easily
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睡眠時間が短いと食欲が増す!?

アメリカで32歳~59歳の人1万8000人のデータを分析したところ、7~9時間睡眠をとっている人に比べて睡眠時間が4時間以下の人は73%も肥満になりやすいことがわかりました。これは食欲をつかさどるホルモンが関係しているのだそう。睡眠時間が少ないと食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減って、食欲を増すホルモン「グレリン」が増える。そのために、肥満になりやすいということです。

なるほど。4時間睡眠の私がどんどん太ったのは、仕事が忙しい→ストレスで食べる(食べることだけが楽しみ)→太る…というメカニズムだとばかり思っていたのですが、仕事忙しい→睡眠不足→食欲が増す→太る…というメカニズムでもあったのですね。納得です…。

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睡眠時間が短いと、脂肪を燃焼させる物質が分泌されない!?

人は睡眠中にも脂肪を燃焼しています。「コルチゾール」という副腎皮質から分泌される物質が睡眠中のエネルギー補給のために脂肪を燃焼します。「コルチゾール」は午前3時~4時頃から徐々に分泌され起床後30~60分の間がもっとも大量に分泌されます。一方、「成長ホルモン」は睡眠中に新陳代謝を促し、脂肪を燃焼させる働きがあります。「成長ホルモン」は入眠後、最初の3時間に最も多く分泌されます。

「コルチゾール」には血糖値を上げる作用もありますが、「成長ホルモン」は血糖値が上がった状態では分泌が抑えられてしまいます。つまり、この2つは別々の時間帯に分泌されないと効果を発揮できないのです。つまり、睡眠時間を十分とらないと、2つの物質の脂肪燃焼という働きを享受できずに肥満につながるというわけです。

レタスを食べると
眠くなるって本当?

Get sleepy
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芯を切ると出てくる白い液にはリラックス効果が

絵本「ピーターラビット」の中でうさぎたちが野菜畑でレタスを食べ過ぎ、眠り込んでしまう場面があります。レタスの茎の部分を切った時に白い液が出てきますが、この液に含まれる苦味成分「ラクッコピコリン」には、自律神経のバランスを整えて高ぶった気持ちを穏やかにしてくれるリラックス効果があるそうです。

睡眠には、体内にあるメラトニンやセロトニンというホルモンが大きく関係しています。この「ラクッコピコリン」には、これらと同じような作用があると言われており、特に芯の部分に成分が多く含まれているのだとか。

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苦味のあるレタスほど効果が高い!?

一般的なレタスでももちろんOKですが、サニーレタス、リーフレタス、サンチュなど苦みの強いレタスには「ラクッコピコリン」がより多く含まれているそう。韓国では長い時間運転をする場合、サンチュを食べるのを控えるほどだとか。安眠のためにレタスを食べるのであれば、1/4個以上を摂取するのが理想的とされています。