眠れない人のための駆け込みサイト_HOME » レベル別 眠れないときの対処法 » 眠れないときの隠れた味方。不眠症に効果的な漢方とは?
Chinese medicine

眠りのリズムを
漢方の力で整えよう

「不眠症を治したいけれど、睡眠薬に頼ることにはなんだか抵抗がある」という方におすすめなのが、漢方薬を用いた改善方法です。ここでは、不眠症の治療によく用いられる漢方薬についてご紹介します。

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不眠症のメカニズム

私たちの身体には、交感神経と副交感神経という2種類の神経が備わっており、このふたつがうまく交互に働くことで、夜に眠くなり朝に目覚めるという自然な眠りのリズムが作り出されています。しかし、このリズムはさまざまな要因によって容易くかき乱されてしまう、とても繊細なものです。

たとえば、ストレスや過度な肉体的疲労は現代の不眠症の代表的な原因といわれています。ストレスや肉体的疲労に長期間さらされると、身体の興奮状態を作り出す交感神経が働いたまま、副交感神経に切り替えることができなくなり、結果として安眠できなくなってしまうのです。快適な眠りを手に入れるには、単純に「眠くなる」ための睡眠薬を服用するよりも、体内バランスを正常に整えてくれる漢方薬で根本的に体質を改善することをおすすめします。

不眠症によく用いられる漢方薬

眠りの改善のため使用される漢方薬には次のようなものがあります。体質によって向いている漢方薬はそれぞれ異なるので、専門家のアドバイスを受けたうえで服用すると良いでしょう。

抑肝散(よくかんさん)

東洋医学では感情や気力を司る「肝」という臓器のグループがあると考えられ、この「肝」の働きがたかぶりすぎるとイライラしたり、考えすぎたりして眠れなくなるといわれています。抑肝散はたかぶりすぎた「肝」の機能を正常化して、神経の興奮を鎮め、筋肉の緊張をほぐすことで心身ともにリラックスさせる効果が期待できる漢方薬です。日常的にストレスが多く、イライラや考えすぎが原因の不眠にお悩みの方に向いています。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、イライラして気持ちが落ち着かない症状や、動悸が起こりやすく、便秘がちな体質の方の不眠治療に適した漢方薬です。身体のバランスを整える柴胡を基本として、感情のたかぶりを鎮静化する「竜骨」「牡蛎」という2種類の漢方を配合してあります。子供の夜泣きや、女性の更年期からくる不眠症やイライラなど、老若男女の不眠のお悩みに対して処方される漢方薬です。

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、胃腸や血色が悪く虚弱体質気味な方に処方されます。「イライラ」というよりは「クヨクヨ」して眠れなくなる神経質なタイプの方、精神的・肉体的に疲労感が強く、毎日ヘトヘトになっている方におすすめです。消化不良や貧血の改善を中心として、不安や緊張を取り除いて精神を安定させたり、気力を補充したりする効果が期待できるいくつかの成分が配合されています。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄連解毒湯は、身体のエネルギーが有り余っていて、のぼせやほてりを感じる体質の方向けの漢方薬です。身体ののぼせや、精神の興奮を鎮める作用があるとされる成分が配合されており、心身のコンディションを整えて眠りやすい状態に近づけてくれる効果があります。イライラして気持ちのやり場がなく、夜も感情がたかぶって眠れないというタイプの不眠症の改善におすすめです。

漢方薬で不眠治療をおこなうメリット

不眠症を根本から改善できる可能性がある

東洋医学の漢方薬は、西洋医学で用いられる睡眠薬とは違い、直接的に「眠くなる」ための成分は含まれていません。漢方薬は、心身の調子を整えたり、神経の異常なたかぶりを鎮めたりすることで、身体のコンディションを自然と眠りやすい状態に近づけてくれるお薬です。そのため、睡眠薬を用いた不眠症対策に比べ、体質を改善して不眠の根本的な原因に対処できる可能性が高いと考えられています。

副作用が少ない

東洋医学で処方される漢方薬は、植物や貝の殻など自然界の恵みを活用したお薬。西洋医学で処方される薬剤とは異なり化学的に合成された成分は使われていないので、効き目がきつすぎることがなく、副作用の心配もほとんどありません。西洋医学の薬剤に比べれば効き目は穏やかで、飲んですぐに効果を感じられるタイプのお薬ではありませんが、副作用を気にせず長い時間をかけてじっくりと体質改善に取り組むためにはうってつけの治療法といえるでしょう。

快眠のためのヒント

寝室や寝具が自分に合っているか

眠りにつけない・安眠できないというお悩みを持っている方は、一度自身の寝室の環境を見直してみてはいかがでしょうか。照明が明るすぎる・騒がしい・寝具が重たい・気温や湿度が適切でないなど、寝室の環境が不眠の一因となっている例は少なくありません。また、生活環境が変わることで自分の眠りやすい環境条件が変わり、今まで普通に眠れていたはずの枕や布団では眠りづらくなるということも考えられます。

入眠前に覚醒するような行動をしていないか

意外と見落としがちですが、布団に入る前の過ごし方も眠りやすさに大きく影響する要素のひとつです。テレビやスマートフォンの明るい光が目に入ると、神経が刺激され興奮状態となってくるため眠りづらくなります。

漢方薬での不眠症改善を目指すなら、寝室の環境や眠る前の行動の見直しなども並行しておこなっていくと良いでしょう。