睡眠改善・リラックス効果のある成分「テアニン」
「テアニン」とは、緑茶といったお茶の中に含まれるアミノ酸の一種で、お茶のうまみや甘味のもととなる成分実はリラックス効果や、睡眠改善効果があると報告されている成分でもあります。ここでは、テアニンの効果効能・副作用・1日の摂取量などについて紹介していきます。
テアニンの正式名称は「L-テアニン」といい、最近ではリラックス効果や睡眠改善効果でテアニンという名前を聞いたことある人もいると思います。では、テアニンとはどういったものなのでしょうか?
テアニンとは、緑茶などのお茶に含まれる、うまみや甘味の基となるアミノ酸の一種です。特に、玉露や抹茶に多く含まれていると言われております。また、お茶の品質が高いほどテアニンが多く含まれているとも言われている成分です。
テアニンは、リラックス・睡眠改善効果が期待できるということもあり、最近では多くの睡眠サプリで使われるようになってきました。また、テアニンを主成分とした睡眠サプリは、科学的根拠を基に効果が期待できるとされた食品「機能性表示食品」を掲げているものも多く、睡眠改善効果としての期待が持てる成分でもあります。
テアニンには前述したとおり、睡眠改善の作用と、リラックス効果があると言われています。それでは、テアニンにはどうしてそのような作用があるのでしょうか。ここでは、テアニンにこれらの効果が期待できる理由について、詳しくご紹介していきます。
テアニンを摂取することで、「α波」という脳波が増えるという研究報告があります。α波は、人間がリラックスしている時に発せられる脳波で、睡眠に入る段階で増加するものです[※2] [※6]。
そのため、テアニンによってα波が増えることで睡眠前のリラックス状態へと導き、スムーズに眠りに入ることができるようになります。 [※7]。
ただし、テアニンと睡眠の研究によると、睡眠薬のように、活動時間帯の眠気を引き起こすような作用はないそうです。 [※5]。
「α波」が増えることで入眠をスムーズにするテアニンですが、「θ波」を増加させる作用はありません。θ波というのは、「うとうとまどろんでいる状態」の時に増える脳波で、眠りに入った頃に現れるもの。 [※8]
テアニンの摂取によって、θ波は増えずにα波のみ増えるということは、スムーズな入眠と熟睡感に効果があると考えられます。うとうとしているような眠りではなく、深い睡眠に入ることができるようになるでしょう。そのためか、深夜に目覚めてしまうことも少なくなるとの報告があります。 [※3] [※5] [※8]
上記でも少しご紹介しましたが、入眠をスムーズにするテアニンには、日中の眠気を強くする作用がありません。むしろ、日中の眠気を抑制する効果があるのではないか、という報告もあります。 [※3] [※4] [※5]
テアニンを摂取することで、眠気が強くなりやすい午後にもはっきりとした覚醒レベルを保っていられるそうです。これは、テアニンが覚醒レベルを調整しているからだと考えられています。 [※5]
テアニンには、ニューロンという脳神経細胞に働きかける作用も認められています。ニューロンには次の2種類があり、テアニンの摂取によって、抑制性のニューロンが刺激されます。
更に、興奮性のニューロンを抑制する作用もあるため、脳の神経が睡眠を促している状態になるのです。テアニンは脳波と脳神経の両面から、入眠しやすい状態にする働きがあるといえるでしょう。 [※3]
テアニンには更年期障害やPMSなど、女性特有の辛い症状を解消する作用があると言われています。テアニンによって期待できる効果は、次のようになっています。[※6]
イライラや憂鬱感は、テアニンの持つリラックス効果によるものでしょう。月経痛や疲労感の改善についても、α波が増えることでリラクゼーション効果があるからではないか、と考えられています。[※2]
また、更年期障害における睡眠障害はイライラや憂鬱感、不安感などが原因になることも多いため、精神的症状が改善されることによって、正常な睡眠をとることができるようになるでしょう。[※7]
テアニンの副作用については、重篤な症状は報告されておらず、安全性の高い成分であると言えます[※1]。
重い症状のものではありませんが、テアニンのサプリメントを摂取している方から、副作用とも考えられる症状が数件報告されています。 ただし、テアニンサプリメントとの関係性については、明らかになっていません。サプリに含まれている、他の成分の影響かもしれません。 しかし、もしテアニンの影響であるなら、体質によってはこれらの症状が出る可能性もあります[※10]。
いずれも症状は軽いものだったようですが、もしこれらの症状が現れたら、一旦服用を中止した方が良いでしょう。
安全性が高いと言われているテアニンですが、安全性についてはわからない部分もあります。そのため妊娠中や授乳中の女性は、サプリメントでの摂取は控えた方が良いでしょう。ただし、テアニンはお茶の中にも含まれており、妊娠中にお茶を飲んではいけないということはありません。そのためお茶などから摂取する場合には、妊娠中や授乳中であっても、特に問題はないと言えます。
テアニンには血圧を下げる作用があるため、降圧薬を服用している方が摂取することで低血圧になる、薬の作用が強く出すぎるなどの心配もされています。 しかし、テアニンを含む食品の研究に参加した被験者の中に、降圧薬を服用中の方もいたそうです。その方は、3か月間毎日テアニンを摂取しましたが、血圧低下などの症状は見られなかったと報告されています[※2]。
そのため、降圧薬を飲んでいる方でも特に問題はないと思われますが、念のため、主治医に相談してから服用されることをおすすめします。 るため、主治医に相談してから、摂取をするかどうかを考えましょう。
テアニンの1日の摂取目安量は、「200mg/日」だと言われています。玉露や抹茶などに多く含まれるテアニンですが、実はお茶の成分の中でも、0.6%~2%しか含まれていないそうです [※9] [※10]。
参照:独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構『2.機能性成分・活用性等調査-各種機能性成分を有した国産農作物-』[pdf]
そのため、1日200mgも摂取するのは大変なこと。睡眠に対して効果を発揮させようと思ったら、サプリメントで摂取するのが効率的です。 普段お茶をよく飲む方であれば、「サプリを飲むことで過剰摂取になるのでは?」と思うかもしれませんが、1日2,500mgを4週間摂取し続けても副作用がなかった、という報告があるので安心です[※1]。
質の高い睡眠を取るためには、脳をリラックスさせることが大切。しっかり眠れる毎日が実現するためにも、テアニンをサプリなどを使って効率よく摂取することをお勧めします。
[※1]生活衛生 vol52 No.4 229-236(2008)『健常成人を対象とした「シスチン・テアニン食品」の過剰摂取における安全性の検討』[pdf]
[※2]日本未病システム学会『ローヤルゼリーおよびテアニンを主成分とした栄養補助食品が更年期女性の疲労感に及ぼす影響』[pdf]
[※3]日本生理人類学会『アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討』[pdf]
[※4]日本生理人類学会『2-7 L-テアニンによる日中眠気に対する評価の研究』[pdf]
[※5]日本生理人類学会『L-テアニンによる日中眠気に対する評価の研究』[pdf]
[※6]一般社団法人 日本女性心身医学会『PMSと健康食品 : L-テアニンの月経前症候群改善効果に関する研究』[pdf]
[※7]一般社団法人 日本女性心身医学会『αs1-カゼイン加水分解物とL-テアニンを含有する食品が 睡眠の質の悪化を訴える中高年女性の睡眠に及ぼす影響』[pdf]
[※8]公益社団法人 日本農芸化学会『L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響』[pdf]
[※9]独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構『2.機能性成分・活用性等調査-各種機能性成分を有した国産農作物-』[pdf]
[※10]消費者庁『安全性評価シート』[pdf]