美肌効果や睡眠の質改善に役立つ成分
「セリン」とはシルクから発見されたアミノ酸の一種で、睡眠効果がある成分。美肌効果や保湿効果があることも分かっています。ここでは、セリンの効果や特徴、副作用についてまとめました。
セリンは、美肌効果や睡眠効果を持つ成分として知られています。では、セリンについてもっと詳しく見ていきましょう。
体内で合成できる非必須アミノ酸の一種でもあります。自然界には500種類以上のアミノ酸が存在していますが、その中でわずか20種類しかない人間のタンパク質を構成するのに欠かせないアミノ酸の一つがセリンです。
体内で他のアミノ酸や核酸といった生命活動に重要な成分を作ることができます。
セリンは、1865年にシルクに含まれるたんぱく質である、セリシンの加水分解から見つかりました。その後、アミノ酸としての構造が1902年に決定しています。
セリンの正式名称は「L-セリン」。セリシンに多く含んでいることが由来で付けられています。食材では牛乳や大豆のほか、高野豆腐、イクラ、かつお節、海苔などに豊富に含まれています。牛乳や大豆類であれば毎日の食生活の中でも取り入れやすい成分でもあります。
非必須アミノ酸の一種で、体内で合成することができるセリン。核酸の原料となるプリンやピリミジンなどのアミノ酸を合成する重要な成分です。しかし、常にたくさんあるわけではなく、加齢とともに合成量が減ってしまいます。
皮膚の角質層に多く存在し、肌の潤いを保つ働きがあります。天然保湿因子を構成するアミノ酸の中に最も多く含まれており、美肌を維持するために重要な役割を持つ成分です。
セリンは不眠解消に繋がり役割を持っているほか、脳機能の活性化にも役立ってくれます。
セリンは神経系とも深く関わっており、睡眠の質を上げる役割を持っています。睡眠の質が悪い方に毎日セリンを摂取してもらったところ、寝つきが良くなり、途中で目覚めることがないとの結果が得られた研究もあるとのこと。寝つきが悪い方はセリンが不足している可能性も疑ってみましょう。[※1]
美容にこだわっている方の中にはセリンについて名前を聞いたことがある方も多いはず。セリンの持つ美肌効果はよく知られています。これは、角質層にある天然保湿因子の大部分を構成しているのがセリンであるのも大きな理由でしょう。肌から水分を逃がさず、潤いを保つ役割を果たします。
それだけでなく、体内でシステインに変換されたセリンはしみやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑える働きも持っているため、美白効果もあるのです。
また、なめらかな肌を作るためにもセリンが役立ちます。セリンにはセラミドほどの保湿能力はありませんが、アミノ酸であるため肌に柔軟性や弾力を与えやすく、美容関連の様々な製品に取り入れられるほどです。
ちょっとした刺激で肌が荒れてしまう方もいますが、そのような場合は皮膚がダメージを受けやすい状態にあるのかもしれません。セリンなどの天然保湿成分が不足すると肌のバリアの力も落ちるため、しっかり取り入れるといいでしょう。
セリンは、脳細胞を構成する神経細胞の材料でもあり、神経伝達物質であるアセチルコリンを分泌させて自律神経を安定させる働きもあります。それだけでなく、物を認識したり見つけたりする働きを支える上でも重要な成分。そのため、不足すると認知症やアルツハイマー病が進行する恐れがあるのです。
また、セリンから合成されるホスファチジルセリンは、脳機能の活性化にも役立ちます。認知症やアルツハイマー病の予防に欠かせない記憶力の向上や認識低下を防ぐ働きも持っているため、セリンが不足しないように注意しましょう。
セリンを取り入れると体内時計の調整能力が高まるというデータもあります。人の体には体内時計があるのですが、生活習慣の乱れなどによって体内時計が狂っている方も少なくありません。体内時計は睡眠とも深く関わっており、体内時計が乱れると睡眠の質が悪くなったり、睡眠障害に繋がったりすることもあるのです。
それだけでなく、がんや糖尿病、肥満、高血圧のリスクも高まります。体内時計はもともと24時間より長いのが特徴です。これを24時間周期に調整するのに役立っているのが朝の光。朝日を浴びることにより毎日針合わせを行うのです。
ただ、朝日を浴びても生活習慣が乱れている場合には十分な調整ができないケースもあるのですが、セリンを取り入れることにより調整機能が十分に働くようになります。
体内時計の乱れが原因で不眠に繋がっている場合、セリンは大きく役立ってくれるでしょう。[※2]
セリンはもともと体内にある成分ということもあり、摂取したからといって副作用が起きるような心配はありません。そのため、非常に安全性の高い成分だといえるでしょう。
セリンの摂取について考える際には、過剰症よりも欠乏症について考えた方が良いでしょう。セリンが不足した場合、肌荒れが発生しやすくなるだけでなく、シワができることもあります。
また、ブドウ糖という脳のエネルギーになるものがあるのですが、これを作るためにはホスファチジルセリンが必要です。セリンはこのホスファチジルセリンを作る上で欠かせない役割を持っています。もしブドウ糖が不足した場合、エネルギー不足の状態になった脳は思考能力の低下や集中力低下を招くのです。
そのほかにも、セリンが不足してホスファチジルセリンが十分に作られなくなった場合には、認知症やアルツハイマー病の進行を招く恐れもあります。
セリンは摂取しすぎても問題ない成分ではありますが、必要以上に取り入れたからといってその分効果を発揮するわけではありません。それよりも毎日継続して取り入れることが重要だといえるでしょう。
ある研究では睡眠に満足していない方を対象に就寝前に4日間連続でセリン3グラムを摂取する実験を行ったところ、寝つきや睡眠の持続感が改善されたとのことです。2日連続でセリンを摂取しただけでも睡眠の満足感が改善されたとの報告があるそうなので、なかなか睡眠の質が改善できず、悩んでいる方も試してみてはどうでしょうか。[※1]
不足すると脳に大きな影響を与えてしまうセリン。体内では恒常的に使用される成分なので、食品やサプリメントで定期的に摂取するのがおすすめです。ただしセリンの睡眠効果だけで不眠症を改善するのは難しいもの。早く治したい場合はテアニンやグリシンなど他の睡眠成分のサプリメントも一緒に摂るのが良いでしょう。