疲れているのに眠れないのはどうして?
体は確かに疲れているのに、布団に入ってもなんとなく眠れない。そんな不眠症状には、どんな原因が考えられるのでしょうか。それでは、実際の事例をご紹介しながら、詳細を解説していきましょう。
疲れているのに眠れない、そんな不眠症状になった場合、具体的にはどのような症状にみまわれるのでしょうか。それでは、実際に疲れているのに眠れない事にお悩みの方の、体験談を見てみましょう。
どんなに疲れて帰っても眠れなくなりました
不規則な仕事で、忙しいときは徹夜する事も珍しくありませんでした。けれどもあるとき、仕事が終わってくたくたで帰宅し、さぁ寝ようと思ってもなかなか寝付けなかったのです。その日を境に、どんどん眠れない時間が増えていき、布団の中で朝日を見る事が多くなりました。寝不足で仕事の効率も下がり、いつミスしてしまうかという不安がさらに不眠を悪化させていきました。
激務に追われた結果、不眠で倒れました
当時、自分の仕事に加えて慣れない仕事を任され、毎日激務とプレッシャーに追われ続けていました。体はくたくたでしたが、布団に入っても仕事の事が頭から離れず、なかなか寝付けないようになり、2ヶ月後くらいには全く寝る事ができないまでになってしまいました。それでも頑張って仕事に行っていたのですが、無理がたたって会社で倒れてしまいました。
疲れているのに眠れない~その原因とは
体は疲れているのに、布団に入っても眠る事ができない。そんな不眠症状が起こってしまう原因には、以下のようなものが考えられています。
ストレスが原因…
仕事や人間関係などで精神的に過度なストレスにさらされると、自律神経のバランスが崩れてしまい、就寝時間になっても交感神経が優位であり続けるため、眠りにつくのが難しくなります。ですので、体がいくら疲労していても脳が興奮状態にあるので、寝付けない当状態になってしまうのです。
生活習慣の乱れが原因…
不規則な生活習慣で起床時間や就寝時間が決まっていないと、体内リズムが崩れてしまい自然な睡眠が訪れにくくなってしまいます。また、平日に眠れない分休日で寝だめする、という方もいらっしゃると思いますが、それもまた体内リズムを乱す原因となりますので、あまりおすすめできません。
就寝前の睡眠環境が原因…
就寝前につい行ってしまっている事が、眠れない原因となっている場合があります。例えば、寝る直前にスマホやパソコンの画面を見るのも、目から入る光が脳を刺激してまだ日中であると錯覚させてしまいます。また、就寝直前にカフェインの入ったコーヒーやお茶を飲む習慣がある、就寝前の飲酒・喫煙なども、脳を覚醒させ眠りにくくさせてしまいます。
疲れているのに眠れないを改善する方法
不眠症状を改善するためには、まず一番の原因となっているものを取り除く事が求められますが、すぐに原因全てをなくす事は難しいでしょう。そこで、すぐに始められる対策方法としておすすめなのが、光を調節する方法です。眠れない人は体内リズムが崩れている事が考えられますので、就寝前は部屋をできるだけ薄暗くし、朝は太陽などの光を浴びる事でリズムを整えていくと良いそうです。
また、興奮した脳をリラックスさせるため、入浴時間や寝室にリラックスするための工夫をするというのも、改善のためにおすすめの方法です。最近注目されている睡眠サプリの活用も、体の内側から自律神経を整えていく効果が期待できますので、自然な眠りのために有効な対策法とされています。
上記の「すぐに始められる対策」を三日坊主にせず、中長期的にも続けていきましょう。良質な睡眠を維持させるための生活習慣や生活環境のことを「睡眠衛生」と言いますが、健全な「睡眠衛生」を維持していくことが、中長期的な対策の土台にもなります。
加えて、より具体的な対策として、医療機関のサポートのもとで睡眠障害の克服を目指すことも非常に重要です。医療機関において行われている中長期の対策を大きく分けると、「睡眠衛生指導」「薬物療法」「認知行動療法」の3種類。患者の症状に応じ、個々で最適な治療計画が立てられます。
睡眠衛生指導
睡眠衛生指導とは、上記「すぐに始められる対策」を、より具体的かつ計画的に進めていくための指導のこと。規則正しい生活を送ることで体内時計を正常に戻すことや、睡眠に適した寝室環境を作ること、寝酒をしないことなど、患者の生活習慣にアプローチすることで睡眠障害の克服を目指す方法です。
薬物療法
症状によっては、睡眠薬の処方も行われます。睡眠薬には、その効果の持続期間の違いにより超短時間型、短時間型、中時間型、長時間型などの種類があります。患者の症状の種類や程度に応じて医師が最適な薬を選択し、症状の様子の変化を見ながら、中長期的に薬の量を調整していきます。
認知行動療法
認知行動療法とは、患者の中に自然に湧き上がってしまう思考にアプローチし、その思考が現実と離れているものであることを患者に自覚さる治療法。不眠症の他にも、うつ病や不安障害、統合失調症など治療法として高い効果を持つことが知られています。
超長期的な対策の中には、多くの場合、睡眠薬の使用が検討されるはずです。睡眠薬を処方された場合、正しい使用方法を厳守しないと、逆に症状が悪化するリスクがあります。医師に指導にしたがって、正しく睡眠薬を使用するようにしましょう。
睡眠障害の克服を目指す薬には、大きく分けて「処方薬」と「市販薬」の2種類があります。「処方薬」とは医師による診断を前提に、医師が直接処方をする薬のこと。「市販薬」とは、医師による診断を必要とせず、薬局やドラッグストアで、患者自身の判断で購入できる薬のこと。「処方薬」と「市販薬」の違いを、より具体的に確認しておきましょう。
※「市販薬」は、医師からの「処方薬」と区別するため「睡眠改善薬」と呼ばれることがあります。
医師の診断をもとに、医師の判断によって調合・提供される薬のことを、処方薬と言います。
睡眠薬の処方薬は、大きく分けてベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬の4種類があります。一般に処方されている睡眠薬の多くは、ベンゾジアゼピン系に属する薬です。
有効成分の違いにより、「即効性があり、かつ効果の持続時間が短いもの」や「緩やかな効果が24時間以上続くもの」など、さまざまなタイプの薬があります。患者の症状の種類や程度に応じ、どのような効果を持つ薬が適しているのか、適宜、医師が判断して処方します。
翌日まで作用が続いてしまうこと(持ち越し効果)や、作用が効いている間の記憶が飛ぶこと(記憶障害)、ふらつきや転倒のリスク(筋弛緩作用)、行動を抑制できないこと(奇異反応)などが、処方薬の副作用として見られることがあります。
薬局やドラッグストアで、患者自身の判断により購入できる薬のことを、市販薬と言います。
市販の風邪薬や鼻炎薬を飲んだ際、眠気が催されることがあります。眠気の原因は、抗ヒスタミン系の薬の副作用です。主に、この副作用を転用したものが市販の睡眠薬です。
医師から処方される睡眠薬に比べ、睡眠改善の効果は緩やかです。慢性的な不眠症を治療するための薬というよりも、一時的な寝つきの悪さなどに対処するための薬と考えて良いでしょう。
人によっては、翌日まで作用が続く持ち越し効果等が見られる場合もありますが、処方薬に比べて作用が緩やかな分、副作用も緩やかです。