たっぷり眠った筈なのに疲れが取れないのはどうして?
「睡眠は取れているのに寝た気がしない」状態、いわゆる熟眠障害・熟睡感欠如の原因について解説しています。睡眠環境や体内時計の乱れのほか、睡眠時無呼吸症候群など病気の可能性もあるため、ぜひ情報をチェックして。
特に寝つきが悪いわけでもなく、毎日7時間、8時間と十分に睡眠時間を取っているはずなのに、なぜか翌日「寝た気がしない」と感じてしまうことがあります。この感覚が慢性化すると、不眠症の一種である熟眠障害と診断されることがあります。熟眠障害の主な自覚症状を見てみましょう。
睡眠に関連してこれらの症状を自覚することは、どんな人にでもあるでしょう。しかし、ほとんどの人は症状が一過性で終わります。ところが中には、数週間から数ヶ月もこれらの症状が治まらず、毎日スッキリしない感覚の中で過ごしている人もいます。長期的にこれらの症状を自覚している場合、熟眠障害の可能性が考えられます。
熟眠障害に陥っている人の中には、休日にたっぷりと寝て症状の改善を図ろうとする例も見られるようです。いわゆる「寝溜め」というものです。
しかし無理に眠りの時間ばかりを多く取っても、熟眠障害の改善にはつながりません。睡眠障害の根本的な原因は、睡眠時間ではなく睡眠の質にあるからです。睡眠の質を高めない限り、睡眠障害を克服することはできないでしょう。
睡眠障害の人に多く見られる傾向は、睡眠中、ノンレム睡眠が得られていないこと。またセロトニンとメラトニンという、睡眠に深く関わるホルモンの分泌量が低下していることが挙げられます。
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠とは、簡単に言えば浅い眠りのこと。ノンレム睡眠とは、逆に深い眠りのこと。
就寝中、それぞれの睡眠はバランス良くやってくるのですが、熟眠障害の人はノンレム睡眠の時間が短い場合があります。深い眠りの時間が短いということになるので、長時間眠っても「寝た気がしない」となるのです。
セロトニンとは、脳内神経伝達物質の一つ。ドーパミンやノルアドレナリンといった、感情や興奮などを司るホルモンを抑える働きがあります。セロトニンの分泌が低下すると、精神的に興奮状態となり睡眠が浅くなります。
メラトニンとは、脳の松果体と呼ばれるところから分泌されているホルモン。体内時計のサイクルに基づいて自律神経に作用し、心身をリラックスさせて睡眠へと誘導する働きがあります。メラトニンの分泌量が低下すると、体内時計が乱れて自然な眠りを得られにくくなります。
なお不眠症には、熟眠障害以外にも入眠障害、早朝覚醒、中途覚醒の3つがあります。
それぞれが単発で発症するとは限りません。症状が複合的に現れる人も多いようです。
熟眠障害の解決方法は、生活習慣や生活環境を改善させていくものが一般的。
深く眠るための仕組みを理解して、地道に努力していくことになります。
自分に合った方法を見極めるために、まずは手軽なものから試してみると良いでしょう。
時間や手間のかからない
睡眠サプリを試してみましょう
生活習慣や環境を変えていくのは、なかなか大変なもの。仕事や家族のお世話といった、時間的な制約がある場合もあるでしょう。そこでおすすめしたいのが、最近注目されている「睡眠サプリ」です。
飲むだけで良いので時間や手間が掛からず、続けやすいというのは大きなメリット。もちろん、他の解決方法と併用して取り入れるというのも良さそうですね。睡眠薬と違ってドラッグストアや通販で買えるので、手軽な方法を試してみたい人にはピッタリです。
自分に適した方法を見極めましょう
塾眠障害の改善方法には、自分でも試せるものが数多くあります。しかし、悩みが解消するまでには地道が必要ですし、場合によっては長い時間がかかるかもしれません。その方法を自分が続けていけるかどうか、という点も意識しながらチェックしていきましょう
午前中に45分程太陽の光を浴びるだけで熟眠障害を改善すると言われています。 午前中に太陽の光を浴びると、気分をリラックスさせるセロトニンと、催眠作用があるメラトニンの働きが正常化されます。また、体内時計であるサーカディアンリズムを正常に整える効果も期待できるでしょう。
眠る前に網膜から強い光が入ってくると、脳が活性化してしまいます。そのため、就寝の3時間ほど前から室内の照明を控えめにすることが効果的です。 室内の照明を調整できない場合は、間接照明やスタンドを利用することがおすすめ。さらに、スマホやパソコンは見ない方が良いですが、見る場合には照度を一番低くした状態で見るようにしてください。
夜間に1時間ほど適度に疲れる運動をすると、熟睡感を高めて、目覚めた時の爽快感が高まります。また、運動は体温を上げますが、一度上がった体温が低下すると眠りにつきやすくなり、眠りの質を上げることができます。 運動の種類としてはウォーキングやジョギングなどがおすすめ。単調な運動は、セロトニンの分泌を促進させる働きもあります。ポイントは、眠りたい時間の3時間ほど前に行うことです。
正しい入浴法は睡眠の質をぐっと高めて、体を入眠しやすい状態にしてくれます。ポイントは次のようになっています。
睡眠サプリには、セロトニンの分泌を促進させる成分が豊富に配合されていて、スムーズな入眠や熟睡感を高めるサポートをします。テアニンやグリシン、ビタミンB6やナイアシンなどが代表的な成分でしょう。 食事からも睡眠のための栄養素は摂取できますが、毎日必要な量を欠かさず摂るのは大変難しい事です。その点サプリなら手軽に摂取することができ、熟睡のために必要な栄養素をくまなく摂れます。
自力で睡眠障害を克服できるならば、それに越したことはありません。実際に自力で症状を克服している人も、大勢います。
しかしながら自力での克服を目指すためには、自分の症状の原因を自分で特定する必要が出てくるでしょう。特定することが難しければ、手探りでさまざまな方法を試すしかないかも知れません。
クリニックや病院を受診すれば、数回程度の通院だけで、睡眠障害の原因を特定できる可能性があります。心理的な原因による睡眠障害だけではなく、身体的な病気を原因とする睡眠障害も見つかるかも知れません。
あらゆる対策を行っても睡眠の質が向上しないと実感している方は、クリニックや病院へ相談するほうが解決の近道となるでしょう。
熟眠障害でどんな影響が出る?
病院で行っている睡眠障害の治療法には、大きく分けると「睡眠衛生指導」「薬物療法」「認知行動療法」の3種類があります。
良質な睡眠環境を整えるための生活習慣を指導します。具体的には、定期的な運動、寝室環境の整備、規則正しい食生活、就寝前の水分摂取量の調整(水分を摂り過ぎない)、就寝前のカフェイン摂取の制限、寝酒の制限、就寝前の喫煙の制限などです。
症状に応じ、各種の睡眠薬の投与を行います。投与する睡眠薬の種類は、有効成分の血中濃度が半減するまでの違いにより、超短時間型(半減期2~4時間)、短時間型(同6~12時間)、中時間型(同12~24時間)、長時間型(同24時間以上)の4つに分けられます。
認知行動療法とは、患者の心の中にアプローチする心理療法の一種。「自分なんて…」「どうせ…」「…に決まっている」「…するべき」「…に違いない」など、患者自身の心の中に自動的に湧き上がる心理が、現実といかに違うかを客観的に直視することで、患者の心理状態の改善を図る治療法です。うつ病や不安障害、不眠症、統合失調症など、さまざまな症状に認知行動療法が効果的であることが分かっています。
熟睡感を得るには「睡眠時間×睡眠の質」が重要ですが、熟眠障害の場合は時間ではなく質の低下が主な原因。睡眠の質を低下させる原因には、以下のようなものがあります。
布団・ベッド・枕が身体にあっていない、寝室が明るすぎたり温度・湿度が適切でない、騒音に悩まされているなど。また、引っ越し・転勤・結婚など、生活環境の大きな変化も原因の1つと考えられます。
就寝前の飲食・飲酒・喫煙、PCやスマホの強い光を浴びるなど、体内時計のリズムが崩れるような生活習慣は熟睡の妨げになります。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量を減らすことにも繋がり、より不眠を悪化させることも。
程度には個人差があるものの、全般的な傾向として、年齢とともに睡眠の質が低下していくことが分かっています。具体的な傾向として見られるのが、眠りが浅くなる、睡眠中に何度も目が覚める、というもの。加齢による睡眠障害は避けられないものなので、当然のことと受け止めるより他はありません。
過度なストレスを抱えていると、自律神経のバランスが乱れます。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、就寝中は「リラックス」を司る副交感神経が優位になります。ところがストレスを抱えていると「興奮」を司る交感神経を優位になるため、なかなか寝付けない、寝たとしてもすぐに目が覚めてしまう、睡眠が浅い、といった状態へと陥るのです。
睡眠時に無呼吸状態を繰り返す症状。脳への酸素供給量が激減するので疲労感がなかなか抜けず、睡眠の質の低下に繋がります。いびきや無呼吸を家族などに指摘されたり、日中に強い眠気や倦怠感を感じる場合は要注意です。
熟眠障害でどんな影響が出る?
睡眠の質が著しく低下すると、ナルコレプシー(過眠症、居眠り病)と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。
ナルコレプシーも睡眠障害の1つで、笑う・怒る・驚くなどの興奮状態の後に急に力が抜けたり(情動脱力発作)、日中強い眠気に悩まされるのが特徴です。
また、睡眠時無呼吸症候群にも注意が必要です。日中に起こる急激な眠気で仕事や日常生活に支障をきたし、運転中・仕事中などに重大な事故を引き起こすケースも多々見られます。
高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病とも縁の深い症状なので、心当たりのある方は専門医での検査・治療をおすすめします。