良質な睡眠がとれない事で起きる症状
寝不足は肌荒れを招く大きな要因。分かっているにも関わらず、良質の睡眠が得られないことから肌荒れに悩む人も少なくありません。ここでは肌荒れに悩む人たちのために、睡眠の質が低下する原因や解決法を詳しく解説。お悩みの方はぜひ参考にしてください。
肌荒れの種類は人によって様々
寝不足になると、あっという間に肌荒れが起こります。きっと多くの女性が、寝不足を原因とする肌荒れを経験していることでしょう。
肌荒れと一言で言っても、寝不足を原因とする肌荒れの種類は人により様々。以下のような症状にお悩みの方は、原因の一つに寝不足が潜んでいるかも知れないので注意してください。
肌の老化を遅らせて、かつ美肌を目指すためには、睡眠不足を解消することが必須です。
保湿ケアやビタミン・ミネラル補給などを積極的に行なっている人も多いと思いますが、今まで通りそれらを継続しつつ、根本的な原因である睡眠不足を解消するための行動をとるようにしましょう。
寝不足が肌荒れの原因となることはよく知られている話ですが、なぜ寝不足になると肌が荒れるのでしょうか? 初歩的な疑問ですが、あらためて睡眠と肌荒れとの関係について理解しておきましょう。
私たちは、眠りに入ってから3~4時間後の熟睡時(ノンレム睡眠の時)に、脳下垂体から成長ホルモンと呼ばれる物質を分泌させています。この成長ホルモンは、皮膚組織の修復や再生、皮膚内部の水分維持、肌の新陳代謝などの深く関与している物質。たとえ眠っていたとしても、浅い眠りについている時(レム睡眠の時)は、成長ホルモンの分泌量が減少してしまいます。
成長ホルモンの分泌量が正常値を保っていた場合、私たちの肌は約28日周期で生まれ変わりますが、成長ホルモンの分泌量が減少すると、肌の生まれ変わりサイクルのスピードが低下。その結果、古い角質などが表皮に残ってしまい、肌に様々なトラブルを招くことになってしまいます。
睡眠中、私たちの体内で分泌されているホルモンは、成長ホルモンだけではありません。その他の代表的なホルモンにメラトニンがあります。
メラトニンには様々な働きがありますが、それらのうち重要な働きの一つが抗酸化作用。体中の酸化を防止する働きです。肌の老化の原因の一つが酸化と言われているため、メラトニンの抗酸化作用が低下すると、肌に様々なトラブルが生じてしまいます。睡眠不足でメラトニンの分泌量が減ることで肌荒れを招いてしまう、ということです。
また、セロトニンというホルモンも肌の正常な再生活動に間接的に関与しています。セロトニンとは、通称「幸せホルモン」と呼ばれる物質。睡眠不足によってセロトニンの分泌量が減少することで、自律神経が乱調になり、肌の新陳代謝の低下を招いて肌荒れにつながると言われています。
女性の体内では、微量ながら男性ホルモンも分泌されています。睡眠不足になると、ストレスによって交感神経(自律神経の一種)が刺激され、この男性ホルモンの分泌量が増加。男性ホルモンの量が増えると、皮脂が過剰に分泌されてしまうため、角栓の詰まりから大人ニキビなどを誘発することがあります。
寝不足を補うために、起床時刻を遅らせたり、週末に寝だめをしたりする人がいます。
たとえ、多少寝不足であったとしても、毎日寝る時間と起きる時間が一定である人は体内時計が安定していますが、一方で、寝る時間や起きる時間が不安定である人は体内時計が乱れていることがあります。
体内時計の乱れは交感神経の活動を優位にさせるなど、自律神経のバランスを乱す大きな要因。交感神経が活発になれば、上記の通り、男性ホルモンの分泌量が増加するため、大人ニキビなどの肌トラブルを招くことがあります。
寝不足になると、決まって目の下にクマが生じてしまう人もいるでしょう。この原因は血行不良です。
寝不足は血行不良を招く大きな要因。肌の修復や再生のためには、血液によって運ばれる十分な酸素や栄養素が必要です。血行が悪くなると肌の新陳代謝が低下し、様々なタイプの肌荒れを招いてしまいます。
また、寝不足は血液のみならず、リンパの流れも悪くしてしまう原因となります。リンパには体内の老廃物を体外へと排出させる大事な働きがあるため、流れが悪化すると肌荒れを招くことがあります。
睡眠不足による肌荒れを改善させるための最も有効な方法は、当然ながら、睡眠不足を解消することです。毎日、良質な睡眠が十分にとれていれば、睡眠不足が原因の肌荒れは解消していくことでしょう。
では、一体どうすればもっとよく眠れるようになるのか? ここでは、その解決策を紹介していきます。
また、睡眠不足の改善方法に加え、対症療法としてのお肌ケアについても解説しておきます。
睡眠は、ひとが生きていく上で欠かす事のできない、生活サイクルの中で最も重要な行動のひとつ。それを改善するためには、生活習慣そのものを変えていく必要があります。見直すべきポイントはいくらでもありますが、まずは、手軽に試せるものから取り入れてみるのが良いでしょう。
しっかりと睡眠時間を確保しているつもりなのに、なぜか寝不足感を覚えてしまう人は、寝具が体に合っていない可能性があります。
特に枕が合っていない場合は睡眠が浅くなるため、心当たりのある方は、寝具売り場の専門家に相談してみるようにしましょう。
寝る直前に飲食をすると、睡眠中に血液が消化器官に集中してしまい、脳への血流が減少。その結果、脳を十分に休息させることができなくなってしまうのです。たとえ睡眠時間が長くても、脳が休まっていない状態であれば、それは睡眠不足という状態です。
寝る2~3時間前には食事を済ませ、就寝時には消化が終わっている状態を心掛けましょう。
ドラッグストアやネットショッピングでは、良質な睡眠をサポートすることを目的とした、各種の睡眠サプリが販売されています。自分に合った睡眠サプリと巡り合うことができれば、もっとも手軽に睡眠の悩みを解消できる手段です。生活習慣を大きく変える必要もないため、一度試してみる価値はあると思います。
ちなみに、睡眠サプリは薬ではないため、基本的に副作用がありません。相性の良い睡眠サプリに巡り合えれば、安心して長く飲み続けることができるでしょう。
日ごろからお肌ケアは行なっていると思いますが、睡眠不足が解消するまでは、今まで以上にしっかりとお肌ケアを行なうようにしましょう。
ビタミンやミネラルなどを摂取しても効果を実感できない、という方でも、引き続き美肌に必要なビタミン・ミネラルの摂取は継続していきましょう。食生活を変えるのが難しい場合はサプリメントを活用するのも有効です。
保湿はお肌ケアの基本。女性ならば、もともと保湿を心掛けている人はたくさんいることでしょう。
睡眠不足の人の皮膚は、十分に睡眠をとっている人の皮膚に比べて著しく乾燥が進んでいます。乾燥が進むと肌のバリア機能が低下。少々の刺激でも肌荒れの要因になってしまうなど、お肌は劣悪な環境へと置かれます。
まずは風呂や出勤前など、いつも通りにしっかりと保湿ケアを行なってください。そのうえで、終日、こまめに保湿ケアを行なうようにしましょう。肌の新陳代謝をサポートするセラミド配合の化粧水などを職場に常備しておくのも良いですね。
いかに肌表面のケアを徹底しようとも、その効果には限界があります。肌表面のみならず、体の中のケアから肌荒れ改善を目指すのも有効な手段です。肌に良いとされる栄養を積極的に摂取しましょう。
肌に良いとされる栄養の代表が、ビタミンB群。中でも特にビタミンB2は、新陳代謝の促進やニキビ予防に直接的な作用をもたらします。海苔やレバーなど、ビタミンB2を多く含む食材を進んで摂るようにしましょう。
他にも、バナナやマグロなどに多く含まれるビタミンB6、アサリやシジミなどに多く含まれるビタミンB12も、直接的・間接的に肌状態に関与している成分。これらも積極的に摂取するようにしましょう。
ビタミンCには高い抗酸化作用があります。また、コラーゲンの生成にはビタミンCのサポートが不可欠とも言われているので、肌トラブルを解消させるためには、ビタミンCの積極的な摂取が有効です。
ビタミンCは、食事で摂取するだけではなく肌に塗るのも有効。スキンケア化粧品を選ぶ際には、肌への浸透率が高い「ビタミンC誘導体」を配合した商品をチェックしてみてください。
肌の新陳代謝には、亜鉛とマグネシウムが必須成分。特に亜鉛には抗酸化作用やコラーゲン生成をサポートする作用があるため、肌質の改善には有効です。
亜鉛を多く含む食材は、赤身の肉、牡蠣、ゴマなど。マグネシウムを多く含む食材は、大豆、穀類、緑黄色野菜など。いずれも、日常の食生活の中で積極的に摂取するようにしてください。
多くの機能性食品の開発を手掛けている太陽化学株式会社(三重県四日市市)は、テアニンによる睡眠への作用を臨床試験にて確認しました。
テアニンとは、私たちになじみのある緑茶に含まれているアミノ酸の一つ。緑茶が持つ旨味成分として知られる成分です。
太陽化学株式会社では、テアニンが持つ睡眠への作用を検証するべく、被験者22名を対象に臨床試験を実施。いずれの被験者にも「テアニンは睡眠をサポートする成分であること」「すべての被験者に一定期間、毎日テアニンを摂取してもらうこと」を伝えました。しかし実際には、被験者の一部に対し、テアニンに似せた偽物(プラセボ)を提供。本物のテアニンの作用との違いを確認するため、あえてプラセボのグループも設けました。
臨床試験が終わって被験者からアンケートをとると、プラセボを摂取していたグループに比べ、本物のテアニンを摂取していたグループにおいて、明らかな睡眠への作用を確認。「睡眠時間が長くなった」「睡眠中に起きてしまう回数が減った」「翌日、疲れが取れている実感があった」「寝つきが良くなった」などなど、テアニンによる睡眠への作用が科学的有意差を持って確認されました[注1]。
睡眠不足が原因の肌荒れと分かっているならば、肌質改善のための近道は、単純に睡眠不足を解消すること。しかし、睡眠不足は寝る時間を増やせば解決するとは限りません。何らかの理由によって睡眠の質が低下している場合、いくら寝ても疲れや眠気が解消できないことがあります。
睡眠サプリの成分として人気のテアニンには睡眠の質を高める効果が認められており、さまざまな実験によって科学的に実証されています。
また、テアニン配合サプリの中には、お肌に良い成分が配合されている商品もあるので、睡眠不足を改善しつつ、体の中からお肌をケアしていくこともできそう。
手軽に試せるのも睡眠サプリの魅力のひとつ。まずは、自分に合ったサプリはないかチェックしてみてはいかがでしょうか。
肌は身体の一部です。身体が不健康なのに肌だけはツヤツヤ、という人はいないはず。身体が健康であることが肌の健康につながる、ということを理解しておきましょう。
なお、厚生労働省では良質な睡眠こそが心身の健康をもたらすとし「健康づくりのための睡眠指針 2014~睡眠 12 箇条~」を公表しています。
睡眠不足による肌荒れにお悩みの方は、肌荒れの改善を図る表面的な対策を行なうのではなく、睡眠不足という根本的な問題と向き合うようにしてください。「睡眠12箇条」を意識し、日々の生活の指針としていきましょう。