Nocturnal awakening

寝ている途中で目が覚める

夜中に目が覚めてしまう中途覚醒の原因と対策

「眠っている途中で目が覚めて眠れない」状態、いわゆる中途覚醒の原因と対策方法をご紹介。就寝前のアルコール摂取をやめるなど生活習慣の見直し方や、十分な睡眠を取れないことによる心身への影響もまとめています。

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夜中に目が覚めて眠れない
「中途覚醒」とは

Nocturnal awakening

夜中に目が覚めて眠れない

睡眠障害といっても人によって症状は違います。布団に入ってもなかなか寝付けない入眠困難、予定していた時刻よりも早く目覚めてしまう早朝覚醒、十分な睡眠時間をとっているはずなのに疲れが取れない熟眠障害などがあるのですが、ここでは夜中に目が冷めてしまう中途覚醒についてご紹介します。

ただ、一度夜中に起きてしまったからといって、中途覚醒に該当するわけではありません。週3回以上夜中に目が冷めてなかなか眠れない、それが1か月以上続くような場合は中途覚醒だと判断できます。

中途覚醒は若年層よりも40~50代といった中高年層に多く見られ、その原因としてうつ病・睡眠時無呼吸症候群・脳変性疾患(脳卒中や認知症など)が隠れている可能性もあるのです。 途中で目覚めることもあって睡眠の質も低下しがちなので、早めに対策をとりましょう。

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考えられる中途覚醒の原因

Cause

中途覚醒の原因には、実にさまざまなものが挙げられます。

寝酒が習慣となっている

就寝前のカフェイン摂取

ストレス・不安・悩みを抱えている

加齢

睡眠時無呼吸症候群・周期性四肢運動障害などの疾病

うつ病などの精神疾患

脳内物質セロトニン量の不足

夜間血糖値が不安定

ホルモンバランスの変化(生理前・妊娠中・育児中・更年期など)

運動不足

アルコールによる中途覚醒

アルコールを取る寝酒については、自然な睡眠にいざなってくれるのでは?と思っている方も多いはず。実際にお酒を飲むとスムーズに入眠できる人も多いです。しかし、アルコールは摂取してから3時間程でアセトアルデヒドという毒素に分解され、アセトアルデヒドには興奮している時に活発になる交感神経を優位にする働きがあります。 布団に入って眠りに付き、本来であれば深い睡眠に入る頃になってからアセトアルデヒドが分泌されると脳と身体が興奮状態になり、眠りが浅くなってしまうのです。

病気による中途覚醒

病気が原因で中途覚醒に繋がることもあります。例えば、睡眠時無呼吸症候群の場合は寝ている最中に脳に酸素が行きわたらなくなり、眠りの質が浅くなるために中途覚醒が起きるのです。睡眠時に呼吸の異常を感じやすい慢性閉塞性肺疾患の場合も呼吸トラブルにより目が覚めます。他にも皮膚疾患になると皮膚のかゆみが刺激になって目を覚ますことがありますし、脳内の神経伝達物質の分泌に異常を生じさせるうつ病も睡眠の質を低下させ、中途覚醒になることがあるのです。病気が原因だった場合、自分ではなかなか対策が取れないため、病院に相談してみましょう。

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中途覚醒が及ぼす影響

Infruence

入眠困難でどんな影響が出る?

睡眠の途中で目が覚めてしまうと、肉体的な疲労だけでなく精神的なストレスにも繋がり、日中の生活にも影響が出始めます。

集中力が散漫になる

運転・仕事中などに突然睡魔に襲われる

眠くて仕事・勉強が手につかない

ボーっとしていることが多くなる

イライラする

以上のように日中の生活に支障が出る場合は、仮眠が効果的です。仮眠を取るタイミングは、午前中などのなるべく早い時間が◎。時間的には、10~20分程度が妥当でしょう。短時間でも睡眠を取ることで頭がスッキリし、日中の行動に影響が出にくくなるようです。
ただし、夕方などの遅い時間に仮眠したり、寝すぎてしまうと夜に眠れなくなってしまうので注意しましょう。

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中途覚醒が悪化すると

Worsening

睡眠の途中で目が覚めてしまう中途覚醒の症状が悪化してしまうと、睡眠障害だけではなく次のような症状になる可能性があります。

女性ホルモンが乱れて月経不順などになりやすくなる

睡眠の乱れは、ありとあらゆるホルモンバランスの乱れと密接に関係しています。そのため、睡眠が上手く取れなければ、女性ホルモンのバランスにも影響を及ぼします。女性ホルモンの乱れが起こると、正常な周期で排卵が起こせなくなることもあるため、月経不順の可能性が高まってしまいます。

精神疾患を引き起こすことがある

アメリカの大学で、「睡眠中、強制的に8回目覚めさせる(中途覚醒させる)」、「睡眠時間を短縮させる」、「自然な睡眠を取る」という3つのグループに分けてアンケートを取るという研究がおこなわれました。この研究では、睡眠時間を短くされたグループよりも、中途覚醒させたグループのほうが、ポジティブな気持ちが下がるという結果が出ています。つまり、「睡眠時間を短くされるよりも、途中で何度も目覚めたほうが精神的に辛いと言える」ということです。 また、十分に睡眠が取れなくなり、その習慣が慢性化してしまうと、「しっかり眠らなくては」という焦りが生まれてしまいます。そのプレッシャーで余計に目がさえてしまい、夜に眠ること自体が負担になっていく…という悪循環に陥ってしまうこともあるのです。このことにより、うつ病や躁鬱病などの精神疾患になるリスクが高まってしまいます。

睡眠専門のクリニックへ相談

生活習慣を改善したり、お薬やサプリメントなどを飲んだりしても状態が改善しない場合は、睡眠の専門クリニックへの受診がおすすめです。睡眠を妨げている明確な理由(病気やけがなど)が分かる場合はそれを治すことが先決です。ですが、特にこれといった理由が見当たらないのにうまく眠れないという場合は、睡眠分野を専門的に取り扱っている医療機関へ相談することが改善への近道になります。

中途覚醒を改善するための対策

Measures

自律神経を安定させる

体内をコントロールしている自律神経を安定化させなければ、ぐっすり眠ることはできません。自律神経が乱れる原因の一つとして挙げられるのが血糖値の問題です。エネルギー不足の状態になると血糖値が下がり、空腹を感じるのですが、寝ている状態ではものを食べることができません。そのため、エネルギーを補給するために目覚めてしまうわけです。寝る前に血糖値を急上昇させる甘いものや糖質を多く含むものを取り入れると血糖値が上がり、その反動で寝ている時に血糖値が下がりすぎてしまう可能性があるので、食生活を見直してみましょう。

適度な運動で血流を良くする

人間の対応は夜に下がる傾向にあり、快眠のためには体温の低下が欠かせません。ですが、血行が悪いとうまく体温を下げることができず、興奮状態になります。血行をよくするためには運動取り入れるのがおすすめ。適度な運動を行うことで、途中で目覚めてしまうことを減らすことにもつながるため、日常生活に運動を取り入れてみましょう。ただし、就寝前に激しい運動を行うことは、入眠しづらくなる原因のため気を付ける必要があります。

参照元:厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針 2014 』[pdf]

生活習慣を改善する

起きる時間や寝る時間が日によって違うと睡眠の質が悪くなります。朝日を浴びてから16時間後に眠気を誘うメラトニンという成分が多く分泌されるのですが、起きる時間が遅いと、朝日を浴びないとうまくセロトニンが分泌されず、夜になってもなかなか眠くなりません。他にも脳を興奮状態に導く寝る前のスマホやテレビ、パソコンも控えましょう。

お酒を控える

寝る直前までお酒を飲んでいると、それが原因で眠りの質が悪くなることがあります。お酒は入眠を促進する効果はありますが、眠りが浅く、中途覚醒が増えてしまうため、熟眠できなくなってしまうことも。そのため、就寝前の飲酒は控えるようにしましょう。

参照元:厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針 2014 』[pdf]

睡眠薬の力を借りる

中途覚醒が日中の集中力低下や体力の低下を招いていると感じた場合、対策として睡眠薬を服用するのも1つの手です。睡眠薬の中でも5~6時間後に効果が切れる短時間多用型か7~8時間後に切れる中間作用型を服用すれば、中途覚醒をうまくカバーしてくれるでしょう。眠りに入ってすぐに目覚める場合は短時間型がおすすめです。

副作用の心配が少ないサプリを飲む

睡眠薬は即効性の効果も期待できますが、長期にわたって使うのはおすすめできません。使い続けると耐性がつく可能性もあるため、安心して飲める副作用の少ないサプリも取り入れてみてはどうでしょうか。サプリであれば依存などの問題も心配ありません。とても手軽なアイテムでもあるので、睡眠薬を飲むのが怖い方や、病院で処方してもらう時間が取れない方にも向いているでしょう。