寝た事で、むしろ疲れてしまうという悩みについて
人は、一日の疲れを解消させるために睡眠をとります。しかしながら昨今、寝ると疲れるという症状を自覚している人も少なくありません。ここでは、寝ると逆に疲れる原因、および具体的な対処法について解説しています。
睡眠の目的は疲れを取るためなのに……
睡眠の目的は、脳と体をリフレッシュさせること。日中のパフォーマンスを上げるために、人は夜間、しっかりと睡眠をとるようプログラムされています。
ところが昨今、寝ると疲れるという不思議な症状を訴える人が多く見られます。寝なければ疲れることは確定しているので、当然ながら誰しも寝るわけですが、寝ても疲れが取れないならば、これは異常事態と言うしかありません。
体をハードに使った翌日なら、確かに寝ても疲れが残っているものです。しかしながら、何も心当たりがないにも関わらず寝ても疲れているならば、そこには改善すべき原因がかならず潜んでいます。
日中のパフォーマンスを上げるためには、原因を明らかにし、具体的な対策をとるべきでしょう。
寝ると疲れてしまう症状の原因として考えられるのは、主に以下の8点となります。
十分に寝たはずなのに、体のあらゆる機能に不調を感じる場合、寝すぎている可能性があります。
人は、寝れば寝るほど体が快調になる、という訳ではありません。過眠症という病気もあるように、寝すぎは睡眠障害の一種として考えられています。たくさん寝たはずなのに、以下のような症状を自覚する場合には、寝すぎている可能性があるのです。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中、一時的に呼吸が停止してしまう症状のこと。喉にある脂肪などが下へと垂れ下がり、呼吸を阻害することで睡眠時無呼症候群が生じます。多くの場合、肥満ぎみの人に見られる症状とされています。
疲労の回復のためには、睡眠中、脳や体に十分な酸素を送り込まなければなりません。睡眠時無呼吸症候群によって脳や体が酸欠を起こすと、いかに長時間の睡眠をとろうとも、疲労感はなかなか抜けません。
睡眠中にいびきをかいている人も、睡眠時無呼吸症候群と類似した症状を発症する場合があります。
いびきの原因もまた、喉付近にある脂肪の垂れ下がり。睡眠時無呼吸症候群とは異なり、無呼吸の症状が見られることは少ないものの、健常な人に比べると脳や体が酸欠傾向にあります。
更年期、または生理の直前期、女性ホルモンのバランスは大きく乱れがちになります。この影響で自律神経のバランスが乱れ、結果、脳が無理をして働くことにより体が疲れやすくなる、と言われています。
体力が衰えているうえに家事や仕事が重なれば、いくら寝ても疲れが取れない、という症状を招くこともあるでしょう。
夢を見ている時の睡眠を、レム睡眠と言います。逆に夢を見ていないときの睡眠を、ノンレム睡眠と言います。レム睡眠の間、人の眠りは浅くなり、ノンレム睡眠の間、人の眠りは深くなります。
睡眠中、レム睡眠とノンレム睡眠がバランス良く交互に訪れれば良いのですが、何らかの理由によってレム睡眠の比率が大きくなった場合、起床後に疲労感が残ってしまう可能性があるでしょう。睡眠中に夢を多く見てしまうと自覚している人は、疲れがとれにくいかも知れません。
喉の付近から分泌されている甲状腺ホルモンの量が減少すると、様々な体調不良を自覚します。その代表的な症状が、疲労感です。
甲状腺機能低下症は女性に多い病気。遺伝やストレスを原因に発症すると言われています。放置すると心臓病に発展する恐れもあるので、心当たりのある方は早急な対処が必要です。
原因不明の疲労感が6ヶ月以上続いている症状のことを、慢性疲労症候群と言います。主に遺伝やストレス、内分泌異常、免疫力低下、脳機能障害などの複合的な原因により生じると考えられていますが、現状は原因不明の病気と位置付けられています。
単なる慢性疲労(疲労の蓄積)とは異なり、慢性疲労症候群は病気なので、休息をとれば治るというものではありません。いくら寝ても疲れが取れないのは、慢性疲労症候群の典型的症状の一つでもあります。
終日デスクワークで、なおかつ運動をする習慣がない人は、体力の低下から疲労感を溜めやすくなります。また、体が疲れていないために眠りが浅くなる傾向もあります。結果として、いくら寝ても疲れている、という症状を招きかねません。心当たりのある方は、生活習慣の改善が必要です。
寝ると疲れてしまう症状の原因が病気の場合、病院で治療してもらう以外に改善方法はありません。自然に治癒する可能性もないとは言えませんが、適切な対処が遅れたために症状の悪化を招く恐れがあるため、早期に医療機関を受診するようにしましょう。
近隣の医療機関に「睡眠外来」や「睡眠センター」があれば、そこを受診しましょう。こういった診療科がない場合には、内科や呼吸器科などに問い合わせてみてください。場合によっては循環器科、耳鼻咽喉科、精神科などで治療に対応している場合もあります。
婦人科を中心に診療しています。「産科」や「産婦人科」と称する診療科でも、通常は治療が可能です。イライラや不安感などの精神状態を併発している場合には、精神科や心療内科を受診すべきケースもあります。
一般には耳鼻咽喉科、内分泌内科、一般内科の受診が適しているとされています。これらの診療科で対応できない症状の場合には、専門の医療機関を紹介してもらいましょう。
原因が明確な病気ではないので専門の診療科はありませんが、通常は内科や心療内科で対応してもらう形になります。
以上とは異なる原因、つまり病気以外を原因として「寝ると疲れる」という症状が生じてしまう場合、以下のような方法を試してみると良いでしょう。
寝すぎていることが原因の場合には、勇気の要る対処法ですが、あえて睡眠時間を減らしてみましょう。7時間程度に減らすことができれば理想です。なるべく8時間を超えないようにしてください。
睡眠時間を減らしたことで、最初は体がついていけず、より強い疲労感を感じる可能性もあります。しかし、身体が適切な睡眠時間に慣れていくことで、睡眠による疲れを軽減できるかもしれません。
いびきをかいている人の中には、肥満傾向が見られることがあります(全員ではありません)。かならずしも健康診断で肥満を指摘されるほどではなくても、多少お肉が多めの人は、ダイエットをしてみてはいかがでしょうか。
ただし、極端なダイエットはリバウンドを招いて逆効果なので、緩やかに減量をしていくようにしてください。
デスクワーク中心の人は、軽い運動を習慣化してみましょう。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、いわゆる有酸素運動(通常の呼吸を維持しながら無理なくできる運動)を行なってください。
ハードな筋力トレーニング等(無酸素運動)は、むしろ睡眠障害をもたらす恐れがあるので避けるようにしましょう。
食事を摂った後に誘発される睡魔に任せ、そのまま睡眠へと入っている人は要注意。睡眠が浅くなる可能性があります。
食後、体は摂取したものを消化しなければなりません。消化のためには、消化器官に大量の血液が必要です。
一方、良質の睡眠を得るためには、脳に十分な血液が運ばれなければなりません。睡眠中、消化器官に血液を奪われてしまっては、脳が十分に疲労を回復することができなくなります。
食事は、なるべく睡眠の2~3時間前に済ませておくことがベスト。食べたものの大半が消化されてから眠りに就くようにしてください。
アルコールには入眠をスムーズにする作用があるため、睡眠前にお酒を飲むことも否定はできません。ただし、お酒を飲む場合には限度を決めておくことが重要。
スムーズな入眠をサポートし、かつ睡眠の質に影響を与えないとされる理想的な酒量は、ビールで言えば350ml程度。日本酒なら1合ほどです。
これ以上のお酒を飲んだ場合、入眠自体はスムーズになるものの、アルコールの分解のために内臓が稼働しなければならないため、睡眠の質が悪化します。
寝る前の深酒が習慣になっている方は、十分に注意してください。
原因がよく分からずに疲労感が残ってしまう場合には、睡眠の質を上げるサプリメント試してみるのも良いでしょう。
睡眠サプリは薬ではないため、基本的に副作用の心配はありません。入手も容易で、手軽に試せる点が魅力です。
睡眠サポート成分としては有名なのは、テアニン、GABA、グリシンなど。原材料や配合成分をしっかりとチェックし、自分に合った商品を選びましょう。
しっかりと寝ても原因不明の疲労感が残ってしまう場合、その原因は睡眠の質にあるかも知れません。
睡眠は生活サイクルの一部であり、その改善に向けて生活習慣を見直すことも重要です。それと並行して、睡眠の質を高める成分を摂取するのも有効な手段だと言えるでしょう。
過去、数々の機能性食品の研究開発で実績をあげてきた太陽化学株式会社(三重県四日市市)は、睡眠をサポートする成分としてテアニンの臨床試験を実施。緑茶に含まれる旨味成分テアニンに、睡眠の質を向上させる働きがあることを発見しました。
太陽化学株式会社では、22名の被験者を対象に、テアニンが持つ睡眠サポート作用についてデータを取りました。
被験者全員に「テアニンは睡眠の質の向上に有効であること」「全員に毎日テアニンを摂取してもらうこと」を伝えて試験に入りましたが、実際には、本物のテアニンとプラセボ(偽物のテアニンと)を計画的に提供して本物のテアニンの作用を確かめる、という試験方式を採用しています。
臨床試験の結果、プラセボを飲んだ場合に比べ、本物のテアニンを飲んだ場合、被験者の多くが「翌日、疲れが取れている」「寝つきが良くなった」「睡眠中に目覚める回数が減った」と回答。テアニンには睡眠をサポートする働きがあることが示唆されました[注1]。
睡眠障害を自覚している方の中には、すでに何らかの睡眠サプリを購入し、試している方もいるかも知れません。ドラッグストアや通信販売などで、多くの種類の睡眠サプリが販売されていることからも、そのニーズの高さがうかがえますね。
しかし、睡眠サプリを選ぶ際には十分に注意すべきことがあります。それは、「本当に睡眠をサポートする働きがあるのかどうか」「その成分が自分に合っているのかどうか」という点です。
商品の宣伝文句を鵜呑みにしたり、有名メーカーの商品だからといって無闇に信用したりせず、配合されている成分などをしっかりと吟味して選ぶことが重要です。
睡眠サプリを試してみたいという方は、費用と時間を無駄にしないよう、信頼性の高い成分が配合されている商品を購入するようにしてください。
「いろいろ試してみても症状が改善しない」、「睡眠中の症状が出る病気について心当たりがある」といった悩みがある場合、専門の医療機関に相談してみることがおすすめです。東京・大阪の睡眠症状を取り扱っている医療機関を紹介します。
診療科目 | 小児神経科、脳神経外科、外科、歯科、整形外科、心療内科、消化器科、循環器科、麻酔科 |
---|---|
院長 | 村田 美穂 |
住所 | 東京都小平市小川東町4-1-1 |
診察時間 | 9:00~11:00、13:00~15:00 |
休診日 | 土・日・祝 |
取り扱っている疾患 | 睡眠時無呼吸症候群、不眠症、その他睡眠障害 |
特徴 | 脳の病気である神経疾患と、心の病気である精神疾患において専門家を揃えている病院です。脳と心の病気は重なる部分が多いため、個々を別の病気として扱うことが難しいのですが、両方の専門家がいる病院のため患者の症状をトータルで見ることができます。設けられている診療科目も多いので、睡眠時に気になる症状を幅広く相談できる病院です。 |
診療科目 | 呼吸器科、内科 |
---|---|
院長 | 松澤 邦明 |
住所 | 大阪府大阪市中央区西心斎橋1丁目12-11 アーバンスタイル心斎橋2階 |
診察時間 | 10:00-13:00 / 16:00-19:00(土曜 9:00-13:00) |
休診日 | 月・日 |
取り扱っている疾患 | 睡眠時無呼吸症候群 |
特徴 | 睡眠時無呼吸症候群の検査、治療に特化した専門クリニックです。睡眠時の症状についての検査はどうしても1泊入院が必要なことが多いですが、夜間入院・早朝退院が可能なため普段の生活に支障をきたさずに入院することができます。睡眠時無呼吸症候群のための専門クリニックなので、症状に心当たりがあったり、他の病院で診断を受け専門的なクリニックを探していたりする人におすすめです。 |
日中のパフォーマンスを左右するのは睡眠です。そして、日中のパフォーマンスによって、あなたに対する周囲からの評価は決定づけられます。睡眠によって十分な休息が得られず、日々の活力が不足しているのであれば、一刻も早く改善方法を見付け出すべきです。
寝ると疲れてしまうという人は、まず原因について考えてみてください。寝すぎや睡眠時無呼吸症候群、いびきなどが原因になっていることが多いかと思いますが、何か病気が原因だと想定される場合には、早めに医師の診断を受ける必要があります。
「ただ単に眠ることがうまくいかないだけ」とがまんしていると、いつまでたっても日中の疲れが取れなくなってしまいます。睡眠での不快症状に対して自己判断するのではなく、専門家が医療的な目線で見ることによって、病気などの原因が見つかったり、睡眠の質を上げたりすることができるかもしれません。少しでも何かの病気の可能性がある場合は、クリニックや病院で専門家の意見を仰ぎましょう。
しかし、病気でもないのに睡眠で疲れがとれないのであれば、睡眠の質を高めることで改善するかもしれません。睡眠の質を高めることで注目されている「テアニンの摂取や、生活習慣の見直しを検討してみるのも良いでしょう。
テアニンが配合されている睡眠サプリは薬ではなく、あくまでも食品に分類される商品。そのため、たとえ長期的に服用しても、副作用や依存性の心配は不要です。様々な可能性を検討した上で、まずは手軽に試せる方法から試していくのがオススメです。
参考資料