やることはたくさんあるのに、どうしても起きられない……
やることがたくさんあって、朝の主婦は大忙し。それなのに、どうしても朝起きられないとお悩みの皆さん、その症状は睡眠障害である可能性があります。原因を探り、具体的な対策を実行していきましょう。
起きられないのは、意思だけの問題ではない
間違いなく言えることですが、主婦にとって1日のうちで最も忙しい時間帯は朝。ご主人や子供は、自分たちが職場や学校に向かうまでの間の主婦の忙しさは理解しているかもしれませんが、その後の主婦の忙しさについては知らないものです。
子供が幼稚園生や小学校低学年などの場合、お昼を過ぎたと思ったら、ほどなく彼らは帰宅します。主婦はこの帰宅時間から逆算して、午前中に掃除や洗濯、場合によっては買い物など、あらゆることを終わらせなければなりません。朝食や昼食を摂っている時間がない、という主婦もいるそうです。
つまるところ、主婦の1日の勝負は、午前中に決まります。だからこそ、朝起きられない主婦は、全ての計画を実行することが困難になってしまうのです。
しかし、どれほど強い意志を持っていても、どのような工夫・努力をしても、朝起きられないという方もいるのです。やらなければならないことが多いだけに、そんな自分に嫌悪感・罪悪感を抱く人もいるのではないでしょうか。
やがてご主人や子供からは「怠け者」のレッテルを貼られ、精神的にも追い詰められます。このままではいけないと誰よりも強く思いつつも、どうしても朝起きられない状態。本当に辛いでしょう。
では、どのようにして状況を打開すれば良いのでしょうか?
解決方法はあるのでしょうか?
朝起きられないという問題は、あなたの意志だけの問題ではありません。どれほど強い意志を持とうとも、朝起きられない具体的な原因を除去しなければ、いつまでも同じ状態が続くだけです。
原因を冷静に自己分析し、解決に向けた具体的な方法を淡々と実行していきましょう。
主婦が朝起きられない原因には、実に様々なものがあります。中でも特に代表的な原因を以下にまとめました。
生活リズムが乱れている
非常に単純な理由ですが、生活リズムが乱れている場合は、主婦であろうが誰であろうが、朝、決まった時間に起きることが難しくなります。
夜遅くまでネットを閲覧している日もあれば、逆に速すぎる時間帯に休息する日もあるなど、心当たりはありませんか?毎日の生活リズムが一定ではない人には、いわゆる体内時計が狂ってしまいます。体内時計は自律神経に関連しているため、自分の意志で調節することができません。体内時計で「朝」と認識できていない状態では、起きることが苦痛で仕方がないことでしょう。
夫や子供の世話で睡眠時間が削られている
家族の生活サイクルが一定ではない世帯において、主婦の睡眠時間にしわ寄せが来ることがあります。
ご主人の職場がフレックスタイム制などで、出勤時間が遅い場合もあるでしょう。その場合、出勤時間が遅い分、帰宅時間も遅くなります。主婦もご主人の帰宅時間に、ある程度合わせなければなりません。
一方で、子供のお弁当作りや朝食準備のため、主婦は朝早く起きる必要があります。結果、必然的に睡眠不足が習慣化。やがて体が悲鳴を上げて朝起きられなくなるのは、当然と言えるでしょう。
ホルモンバランスが乱れている
もしあなたが40代、50代、あるいは30代後半の主婦であるならば、更年期障害の疑いもあるでしょう。「一日中眠い」「朝起きられない」といった睡眠障害は、更年期障害の代表的な症状の一つです。
更年期に入ると、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が減少。これに伴い、自律神経が乱れ始めます。自律神経とは、自分の意志とは無関係に体を動かしている神経組織のこと。睡眠を始め、消化や呼吸、心臓の動きなど、意志とは無関係に働いている体の機能はすべて自律神経が動かしています。
エストロゲンの減少から自律神経が乱れた場合、朝起きられなくなることは決して珍しくはありません。
良質の睡眠が取れていない
眠る前にカフェインなどの覚醒作用がある成分を摂取すると、眠りが浅くなります。睡眠導入の意味で寝酒を飲む人もいますが、これも逆効果。寝入りは良くなるものの、睡眠の質は低下します。加えて、寝る直前のスマホやパソコン操作も、強い覚醒作用があるので避けるべきです。また、枕が体の形状に合っていないことが理由で、睡眠が浅くなることもあります。
睡眠障害となる病気を持っている
上記にまったく心当たりがない場合には、睡眠障害を誘発する何らかの病気を抱えている可能性も否定できません。具体的には起立性調節障害、睡眠相後退症候群、睡眠時無呼吸症候群、副腎疲労症候群などです。その場合、病気を改善させないことには、睡眠障害は改善できません。
朝起きられない状態の解決に向けて、以下のことを実行してみましょう。これら全てをしばらく実践しても効果を感じられない場合には、速やかに医療機関を受診するようお勧めします。
生活習慣の乱れは、体に無理な負担を蓄積させてしまいます。「いくら寝ても寝不足」という体になりかねません。
就寝時間が一定ではなかったり、遅くまでスマホやテレビを楽しんだりする癖がある人は、安定的な時間サイクルで生活をするよう心掛けましょう。
入眠をスムーズにし、かつ良質の睡眠を得るためには、睡眠環境を整えることが効果的です。具体的には、「部屋の明るさ」「部屋の温度・湿度」「部屋の音」を整えます。
睡眠に最適な明るさは、0.3ルクスとされています。0.3ルクスとは、ちょうど月明かりが部屋に差し込んでいる程度の明るさ。月とともに眠りに就くのは、人類が共通して持つ遺伝的要素なのかも知れません。
眠りに最適な室温は、冬なら16~19度、夏なら26度以下と言われています。睡眠に理想的な湿度は、季節を問わず50%程度。室温についても湿度についても、エアコン、加湿器、除湿器の使用が望まれます。
快適に眠るためには、周囲の音を40ホーン以下にすることが理想と言われています。40ホーンとは、図書館などの静かな環境と同程度の音。道路沿いなどにお住まいの方については、車の騒音を遮断するために、耳栓などの安眠グッズを活用すると良いでしょう。
体を適度に疲れさせることで、良質の睡眠を得ることができます。寝る直前の運動は覚醒作用があるためおすすめしませんが、夕方などに軽いウォーキングをしておくなどすると、体が適度に疲れて眠りやすくなります。
なお、たとえ夕方とは言え、激しい運動は睡眠を妨げる要因になるので、少なくとも睡眠障害に悩んでいる間は控えるようにしてください。
寝る直前に食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、睡眠中に消化機能がフル稼働になるため、眠りが浅くなります。食事は、最低でも入眠の2時間前に済ませるようにしてください。
逆に、空腹も良質の睡眠を妨げる一要因となります。空腹感が気になって上手く眠れないだけでなく、良質の睡眠に必要とされるビタミンB群やカルシウムなどが不足し、睡眠障害を招く恐れがあります。
良質な休息をサポートするとされる成分を摂取することも、朝起きられない人への対策としておすすめ。最近では「睡眠の質」に着目したサプリも販売されています。気になる商品を試してみるのも良いでしょう。
ちなみに、サプリを比較する場合には、以下の成分のいずれかが含まれているかどうかをチェックしてみてください。
他にも注目すべき成分は多々ありますが、特に上記の成分は、良質の休息を得られるものとして有名です。
以上の対策をしばらく実行しても朝起きられない状態が改善しない場合、何らかの病気が背景にある可能性もあります。原因を特定するため、速やかに医療機関を受診したほうが良いでしょう。
なお、病気とは異なりますが、医療機関では更年期による睡眠障害の治療も行なっています。年齢的に更年期が疑われる場合には、更年期外来を設けている婦人科(産婦人科)を受診するようにしてください。ピルや漢方薬の処方、栄養療法、ホルモン補充療法などを受けることにより、更年期の症状は改善に向かいます。
先に睡眠に良い成分として紹介したもののうち、特にオススメなのはテアニンという成分。テアニンは科学的な実験を通じて、睡眠サポートを始めとした様々なメリットが確認されており、女性特有の悩みを緩和したという実験結果も報告されているのです。気持ちを落ち着けるリラックス作用も期待できるので、朝起きられないことがストレスになり、良質な睡眠がとれないという悪循環を抜け出すのにはうってつけの成分と言えるでしょう。
太陽化学株式会社(三重県四日市市)は、L-テアニンのリラックス作用・睡眠導入作用について、ヒトを対象とした実験を行ないました。
被験者は35~60歳の女性。L-テアニンを配合した錠剤を飲むグループと、L-テアニンの「偽薬」を配合した錠剤を飲むグループ(※)とに分け、それぞれのグループの体調の変化をチェックするという実験です。
実験の結果、L-テアニンを飲んだグループは、「偽薬」を飲んだクループに対して有意な効果が発現。具体的には、不安感や悲しみ、イライラなどの感情が緩和し、リラックス作用がもたらされたというものです。リラックス効果の副産物として、睡眠の質の向上も確認されました。
※何らかの成分の作用を確認する際、あえて「偽薬(プラセボ)」を飲んでもらうグループを設置します。両グループに対しては「同じ成分が含まれている」と伝えます。これにより、「気のせいで作用が得られた場合」と「成分の働きで作用が得られた場合」との違いを確認することができます。
同じ太陽化学株式会社の実験によると、L-テアニンを飲んだグループは、「偽薬」を飲んだグループに比べ、ホットフラッシュや動機、疲労感などの症状が改善。いわゆる更年期障害人には理解されがたい女性特有の症状が、L-テアニンを飲むことで改善方向に向かうことが分かりました。
20~49歳(平均30.3歳)の女性20名を対象に、生理前10日目~14日目にかけて、2周期にわたりL-テアニンを飲んでもらう実験を行ないました。こちらの実験においても、本物のテアニンを飲むグループと、偽物のテアニンを飲むグループとに分類。それぞれの体調の変化をチェックしました。
実験の結果、偽物を飲んで「PMSが改善した」と感じた人は42%。それに対して、本物を飲んで「PMSが改善した」と感じた人は61%。「61%-42%」で、最低でも12%の人は、気のせいではなく、L-テアニンの作用でPMSが改善したことが分かります。
家族の誰よりも多くの仕事がある朝の主婦にとって、スムーズに起きられないことは大変な苦痛でしょう。起きなければならないのに起きられないという状態に、罪悪感や自己嫌悪観を募らせる人も多いはずです。そういった罪悪感等が心に重くのしかかり、睡眠障害さらに悪化させ、ますます朝起きることが苦痛になっていくかも知れません。
睡眠障害を抱える人に対し「深く気にしないことが大事」というアドバイスを聞くことがあります。確かにこのアドバイスは間違いではありませんが、本人にとっては、そのようなことを言われても何の解決策にもならないでしょう。
ほとんど主婦は、朝しっかり起きて家事をこなしたいと思っているはずです。それにも関わらず朝起きられないならば、もはや自分の意志では何とかできる問題ではないことを素直に認めましょう。
そこには、必ず何らかの原因があります。その原因を突き止め、取り除くための具体的な方法を冷静に考えることが必要なのです。
まずは自分の状況を家族にも理解してもらい、協力を仰いでみましょう。決して怠け者だから朝起きられない訳ではないことを、家族も、そして自分も理解することが解決に向けた第一歩です。