Risk and evil

眠れない人が招くリスクや弊害

不眠がもたらすその他のリスク

睡眠のバランスが崩れると、眠れない・目覚めが悪い・夜何度も起きるなどの症状以外にも、様々な弊害をもたらします。
このページでは、そうした不眠がもたらす体へのリスクについて解説していきます。

生活習慣病リスク

Risk
肥満・血圧・血糖への影響

睡眠不足になると、生活習慣病とも言われる肥満を引き起こしやすくなるとされています。また、血圧・血糖への影響も報告され、高血圧や糖尿病などを発症するリスクも挙げられているのです。

肥満のリスク

睡眠と肥満の関連性は、米国のスタンフォード大学の調査でも報告されています。睡眠不足になると、体内で食欲を増進させる「グレリン」の分泌が増加し、食欲を抑える「レプチン」の分泌が減少してしまいます。そのため、睡眠不足が続くと食欲が増し、結果的に太りやすく肥満になりやすいことがわかっています。

血圧へのリスク

血圧は、自律神経の働きと密接に関連しています。交感神経が有利の時は血管が収縮して血圧が上がり、副交感神経が有利の時は血管が弛んで血圧は下がります。睡眠不足になり不眠の状態になると、交感神経が優位になりっぱなしとなるため、血圧は高いままとなってしまうのです。ある調査によると、不眠のお悩みがある人は健康な人と比べて、高血圧を発症するリスクが約2倍あると示されています。

血糖へのリスク

現段階では、睡眠と血糖のハッキリした因果関係はわかっていませんが、睡眠不足の状態が続くと、血糖値の上昇を抑える能力が低下するとされています。実際に、不眠症でお悩みの方は健康な人に比べて、糖尿病の発症リスクが2~3倍に跳ね上がるそうです。また、海外の研究機関の調査によると、不眠は肥満に次いで、2型糖尿病を発症させる非常に重要な危険因子であると指摘されています。

女性ホルモンへの影響

Female hormone
女性ホルモンの異常によるリスク

体内のホルモンバランスは、睡眠中に副交感神経が働くことによって、メラトニンが分泌されることで健康な状態が保たれています。ところが、睡眠不足により十分なメラトニンが分泌されなくなると、それに影響され女性ホルモンであるエストロゲンのバランスを崩してしまうことになります。エストロゲンの過剰分泌が進むと、女性ホルモンの異常によるリスクである、乳がんや子宮体がんなどと言った、重篤な病を引き起こすことになりかねません。

精神・こころへの影響

Mind
うつやパニック障害など精神への影響

睡眠が十分に取れていない場合、脳にも疲労が蓄積しバランスを崩してしまうことが報告されています。情緒を安定させる神経伝達物質の働きが低下し、同時に脳の予測機能に異常が生じるため、うつやパニック障害などを引き起こしやすくなるとされているのです。その他にも不安症状や認知症なども、睡眠不足による脳内神経伝達の異常が要因となるケースが少なくないそうです。また逆に、うつ症状を引き起こした結果、不眠症になってしまうこともあります。

不眠による美容への影響

Beauty

寝不足が美容に及ぼすリスク

睡眠不足になると、肌荒れなどの肌トラブルを起こしやすいことは良く知られています。なぜ肌トラブルを起こしやすくなるかというと、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」が関係しているからです。細胞の入れ替えを活性化させる成長ホルモンは、肌を美しく保つためにも重要なホルモン。美肌を作るためには必要ですが、睡眠が足りないとホルモンの分泌も低下してしまうため、肌荒れやくすみ、ニキビなどの吹き出物など、様々な肌トラブルを招くことになるのです。また、睡眠の質が落ちている場合は、たとえ眠れたとしても、成長ホルモンが十分に分泌されていない可能性が考えられます。

不眠による社会生活への影響

Social life

仕事などの日常生活へ与える影響

睡眠不足により脳が十分に休息を取れなくなると、日中に我慢できないほどの眠気が襲うこともあります。また、情報処理能力の低下や集中力の低下も顕著に表れます。睡眠不足や不眠症は、産業事故のリスクを約8倍も高めると言われている通り、その作業効率の悪化が経済に与える損失は、年間で数兆円にのぼるという試算も出ているのです。またこうした経済への影響だけでなく、日常生活を送る上でも倦怠感から支障が出るようになり、けがや事故に見舞われるリスクも高まります。特に車を運転する方の場合は、重大な事故を引き起こしてしまう危険性が懸念されます。

以上のように、不眠の症状が私たちの体に与えるリスクは、けっして軽視できるものではありません。このようなリスクを避け健康な社会生活を送るために、少しでも不眠の自覚症状がある場合は、たいしたことはないと放置せず、早めに睡眠の質を良くするための不眠対策に取り組みましょう。